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※10月4日、原子力規制委員会(以下「規制委」)が、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)6、7号機の再稼動をめぐり審査を行っていましたが、技術審査に基づく「審査書案」のとりまとめを行い、事故をおこした事業者として「適格性」を認め、東電に原発を動かす資格にお墨付きを与えたため、抗議声明を発出しました(PDF版はこちら[PDF:182KB])。

【抗議声明】東京電力には原発を運転する資格はなく、
原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に対する
「適格性」を認めたことに抗議する


2017年10月4日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫

 

 

 10月4日、原子力規制委員会(以下「規制委」と略す)が、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)6、7号機の再稼動をめぐり、審査を行っていたが、技術審査に基づく「審査書案」のとりまとめを行い、事故をおこした事業者として「適格性」を認め、東電に原発を動かす資格にお墨付きを与えた。
 6年前の3月11日、東電福島第1原発事故が起き、今だ、収束の目処すら立たず、原因究明や賠償、廃炉も道半ばであり、東電には原発を運転する資格すらない。
 規制委は東電が福島第1原発事故を起こした当事者であることを重視し、技術面に限定していた審査から踏み込み、事業者の適格性も審査の対象としていた。
 規制委も、7月には東電社長らの面談で、規制委の田中俊一委員長も「覚悟と具体的な取り組みが見えない」と批判していたが、8月末には東電が出した“決意表明”なる回答書を事業者が遵守すべき保安規定に盛り込むことなどを条件に、担保されたなどとして、意見を一転させたが、規制委に恣意的な判断と言わざるを得ない。
 柏崎刈羽原発の原子炉のタイプは重大事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉であり、同タイプとしては事故後初の「適合」が認められることになる。
 新潟県の米山隆一知事は、「適合」を認めるのは、規制委であり、経済産業大臣が認証し、東電の保安規定に書き込んだことで「適格性」が担保されると判断するのは精神論的過ぎるし不思議な手順だ。新潟県としては、あくまで科学的な判断を積み上げていきたいと考えている」と言われている。
 また、米山隆一知事は、今年、県独自の福島第1原発事故の検証を開始し、事故の原因、健康等の検証を進めている。その検証なしに再稼動の論議は始められないし、検証には3〜4年かかる見通しとしている。
 再稼動には地元の同意が必要で、その見通しは不明なままである。
 ところが、東電の小早川智明社長は、「(福島第1原発)廃炉のお金を稼ぐことが一義的に一番重要」とし、再稼動に心血を注いできた。福島、新潟県民、国民の原発ゼロの願いを踏みにじるものである。
 また東電には、今年2月、今回の規制委の審査でも、3年前から、事故対応時の重要免震棟の耐震性不足を社内で把握していながら、規制委には事実と異なる説明をしていたことが発覚した、利益優先で安全を軽視し、トラブル隠ぺい、データ改ざん等根深い隠ぺい体質という大問題になった。
 あらためて、国民の命と健康を守ることを使命とする医師、歯科医師として、東電には原発を運転する資格もないし、規制委の柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動の再稼動「適格性」を認めることに抗議するものである。

以上