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※全国保険医団体連合会では、9月14日〜15日に「第37回病院・有床診療所セミナー」を開催し、下記の決議を採択しました。決議文は総理大臣、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:180KB])。

【決議】 必要な医療が受けられるために、消費税増税中止、
患者負担軽減、診療報酬の大幅引き上げを求める決議

2019年9月15日
全国保険医団体連合会
第37回病院・有床診療所セミナー

 

 7月31日に公表された概算要求基準によれば、2020年度の社会保障費は自然増の伸び5,300億円を、予算編成過程でさらに削減して「高齢化による増加分」まで抑える方針です。一方、10月1日からは、多くの国民の反対の声を無視して、臨時国会も開会しないままで消費税の10%への増税を実施しようとしています。
 来年4月には診療報酬改定が予定されていますが、2002年〜2008年までの4回連続のマイナス改定、2014年〜2018年の3回連続のマイナス改定で、2002年以降の引き下げ幅は累計で10%以上にのぼり、地域医療を支える現場は疲弊しつづけています。「働き方改革」に伴う人件費や物価上昇等に対応するためには10%以上の診療報酬引き上げが不可欠です。
 なお、政府は、75歳以上の窓口原則2割負担化、薬剤の自己負担引き上げ、介護保険の利用者負担引き上げや軽度者への給付制限など、大幅な負担増をもくろんでいます。これらが実施されれば、受診抑制が一層広がってしまいます。
 必要なことは「いつでも、どこでも、だれでも」が必要な医療・介護を受けられる制度を守り、改善することです。このための財源は、あります。
 資本金10億円以上の大企業の内部留保は毎年拡大し、2018年度には449兆円を超えました。内部留保の増加は、雇用制度の改悪と法人税減税によるものです。賃金や雇用体系を改善し、諸外国と比べて低い社会保障に対する事業主負担を引き上げるなど、大企業の内部留保を社会に還元させ、高薬価を是正すれば、診療報酬を引き上げ、患者負担を軽減し、雇用と生活、社会保障を守ることが可能です。
 平成22年版厚生労働白書では、社会保障分野の「総波及効果」は公共事業よりも高く、主要産業より「雇用誘発効果」が高いことが示されています。
 社会保障への支出は、社会保障を受ける人を支えるだけでなく、雇用を確保し、日本経済を押し上げる効果を有します。
 社会保障拡充は、まさに政府が目指す景気浮揚に寄与するものです。
 こうしたことから、私たちは次の事項の実現を強く求めます。

一、

直ちに臨時国会を開会し、消費税増税を中止すること。

一、

必要な医療が提供できるよう、2020年改定で基本診療料(初・再診料、入院基本料など)を中心に、診療報酬を10%以上引き上げること。

一、

新たな患者負担増計画及び介護保険利用者負担増計画を中止し、負担を軽減すること。

一、

地域状況を勘案しない病床再編・削減をやめること。

一、

介護療養病床及び25対1医療療養病床の廃止を撤回すること。

以上、決議する。