※全国保険医団体連合会では、下記の要請書を発表し、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:281KB]

【要請書】安全性が確保された医薬品が安定供給されるよう
早急に対策を講じることを求める要請書

2021年10月7日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 2020年末に発覚した小林化工・日医工の不祥事を発端に、後発医薬品等の供給が制限され、また出荷調整によって購入も代替も困難となっています。後発医薬品不足の影響を受け、先発医薬品への変更も困難な状況です。
 事態を受け、厚生労働省は「後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取り扱い」(9月21日付け)を発出し、現在供給が停止している医薬品は、後発医薬品使用体制加算等における実績要件である後発医薬品の使用(調剤)割合を算出する際に、算出対象から外しても差し支えないとしました。
 診療報酬上の措置としてはもっともではありますが、同事務連絡前段に厚生労働省として、「各種製造販売業者に対して、早期の供給回復、引き続きの安定供給や増産等の対応をお願いしているところである」との記述があります。
 本来、医薬品供給は国民の命・健康に係る問題であり、政府が責任を持って安定供給を図っていくべきところを、2005年の旧・薬事法改正により、受託製造が可能となったことで、1つの工場で多種多様な医薬品の製造が日常的に行われる状況が進むこととなりました。さらに、2015年に政府によりジェネリック普及率80%を目指す政策が掲げられました。診療報酬や療養担当規則等で後発医薬品の使用のための誘導がされるなかで、需要が急拡大するなか、企業の製造・管理体制が追いついておりません。「過度な競争から、品質よりもコストダウンや供給量の確保を優先する意識になっていたことも考えられる」との報道も見受けられます。(日経ビジネス2021年3月4日付)
 今般の問題は、医薬品メーカーのガバナンスの在り方はもちろんですが、まず政府は医薬品不足という事態が、国民の命に関わる重大事案であることをしっかり認識できていたかどうかです。政府は、各企業にお願いベースではなく、国として責任を持って供給体制を構築していくべきです。
 医療現場では代替薬が入手困難なために、とくに院内処方を行う医療機関には影響が大きく、薬剤師が医師に休薬を提案せざるを得ないような状態になるなかで、どうにか治療を中断しないようにと懸命な対応がとられています。このままでは患者・国民の健康状態の悪化が懸念されます。
 このような事態は、医療者として看過できるものではなく、早期に供給が安定するよう措置を講じることを求めます。
 以上のことから下記を要望します。

一、 政府の責任で以て、安全性が確保された医薬品が、安定供給され続けるよう早急に対策を講じること。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見