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オンライン請求義務化で60歳以上開業医の約3割が「辞める」

 各県の保険医協会・保険医会は2007年から2008年にかけて、開業医会員に「診療報酬オンライン請求義務化に関するアンケート」を行いました。実施したのは32都道府県の34協会に上ります。
(詳細は、http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/080313online.pdf

保団連はこのほど、このうちの青森、岩手、埼玉、東京、京都、大阪、兵庫、奈良、長崎、鹿児島の10協会をピックアップし、60歳以上開業医の動向を調べました。
その結果、60歳以上開業医2,699人のうち747人、27.7%の人が、オンライン請求が義務化されたら開業医を「辞める」と回答していることが分かりました。(2006年の厚労省『医師・歯科医師・薬剤師調査』によれば60歳以上開業医は約3万6000人にのぼり、このうち約1万人が廃業する計算となります)

 60歳以上といえば地域の患者さんの健康や体調を熟知したベテラン医師といえます。そのベテランの開業医が、診療報酬のオンライン請求義務化によって約3割が廃院すれば、地域医療に壊滅的な影響を与えることは避けられません。 本会は医療のIT化は推進すべきと考えますが、個々の医療機関の実情に応じた柔軟な対応をすべきであり、オンライン請求の義務化は撤回すべきと考えます。

 


*診療報酬のオンライン請求……医療機関は現在、かかった診療報酬の請求を支払い基金、国保連合会に紙またはフロッピーまたはオンラインで請求しています。厚労省は2011年度からは、原則すべての医療機関が診療報酬の請求をオンラインで行うよう省令を改めました。請求のオンライン化は大型の病院などから順次行われてきています。しかしオンラインの義務化については、日本医師会なども反対しています。