後期高齢者保険料普通徴収者の
滞納者数調査(全国)の結果について
1. 昨年の11月末から12月末にかけて、各都道府県の保険医協会・保険医会を通じ、全国587自治体(27都府県)に後期高齢者保険料普通徴収者の滞納者数のアンケートを行ったところ、およそ17万人もの方が保険料を滞納されていることが判明しました(9月分で)。
調査の結果、後期高齢者医療制度の保険料を普通徴収で納付されている方の内、約1割の方が滞納となっていることが分かりました。後期高齢者医療制度では、原則として滞納が一年間続くと、医療費窓口負担がいったん10割となる「被保険者資格証明書」(資格証明書)が発行され、事実上の「無保険」となります。
後期高齢者医療制度の保険料徴収は年金からの天引きが原則です。しかし無年金者や年金受給額が年間18万円以下の人、介護保険料の天引き額と後期高齢者医療保険料が年金受給額の5割を超える人については年金天引きをせず、納付書や口座振替による「普通徴収」となります。このように、普通徴収となる高齢者の方の年金収入は少額であり、そもそも滞納となる可能性が高いのが実態です。このような方々から「滞納」を理由に保険証を取りあげ、医療機関の窓口で全額自己負担を求めることは、受診を阻害し、高齢者の命と健康を脅かす事態を引き起こすことは火を見るより明らかです。
2. また、区市町村によって、「特別徴収」(年金天引き)を10月から開始したところがあったことや、年度途中で普通徴収の対象者が拡大されたことによる混乱もあり、最終的にどの程度の規模で「滞納」が生じているのかは未だ不明です。さらに、徴収方法の周知不足により、年金から天引きされるものと思っていたとか、まとめて納める、あるいは納入しないといけないと気付いてない人などもいると考えられます。広域連合によっては、資格証明書を交付する前の段階として、4ヶ月程度の「未納」に対して「督促状」を発送し、有効期限を短縮した保険証(短期証)に切り替えて対応するというところもありますが、このような一律の対応ではますます高齢者の不安を増幅させるだけです。
3. 医療を最も必要としている高齢者に、すくなくとも資格証明書は発行すべきではありません。旧老人保健制度の下では、老人保健対象者のいる世帯は資格証明書交付の対象ではありませんでした。後期高齢者医療制度の創設により、来年度以降から初めて高齢者に資格証明書が発行されることになるのであり、実際に発行・交付されればその影響は計りしれません。当会は、高齢者に差別医療を強いる後期高齢者医療制度を即刻廃止し、高齢者が安心して暮らせる医療制度を作りあげることが必要だと考えます。