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子ども医療費助成制度の推移と患者の受診動向の分析

2017年12月6日
全国保険医団体連合会
保団連情報通信部長
本田 孝也

 

 日本経済新聞は8月1日、子ども医療費助成制度の拡大に対して「安易な受診を増やし医療費膨張につながる副作用は深刻だ」と報じた。報道の信憑性を検証するために、医療費の動向(メディアス)と社会医療診療行為別調査(e-Stat)のデータから子ども医療費助成制度の推移と患者の受診動向の分析を行った。
 図1、表1に2002年から2016年までの子ども医療費助成制度の対象年齢(通院)の推移を示す。2002年には助成対象年齢のほとんどが就学前であり、中学生まで助成していたのは3,241自治体のうち、僅か33自治体(1%)に過ぎなかった。それが2016年には1,741自治体のうち、助成対象年齢が中学生以上の自治体が1,387 自治体(80%)と、助成対象年齢の引き上げは年々着実に進行している。
 日本の子どもの人口(0〜14歳)は、2002年は1,810万人だったのが、2015年には1,589万まで減少している。一方で、助成対象年齢の引き上げに伴い、助成の対象となる人口は2002年の651万人から2015年には1,425万人と倍増した(表2)。
 図2の棒グラフは2002年度から2016年度までの外来レセプト件数の年齢階級別推移を示している。0〜4歳、5〜9歳、10〜14歳のいずれの年齢階級でも外来レセプト件数はほとんど変化していない。ただ、受診率(人口1,000人当たりのレセプト件数)でみると2002年度の7,000件から2015年度には8,400件と微増(1.2倍)しており(表3)、これは、医療費助成制度拡大の影響と考えられる。
 図2の折れ線グラフは0〜14歳の医療費(入院+入院外)の推移を示している。概算医療費(全年齢の総医療費)は2002 年度から2016年度までの14年間で11.3兆円も増加している(表4)。これに対して0〜14歳の医療費の増加は0.44兆円(4,400億円)に過ぎない。増加した4,400億円の内訳は、病院、診療所が1,700 億円、歯科が300 億円、調剤薬局が2,400 億円である。
 医療費助成制度を拡大するとコンビニ受診が増えるのではないか、という懸念の声がある。
 図3は2006年から2016までの各年の6月の年齢階級別、時間外受診件数の集計結果である(表5)。時間外・夜間・深夜の加算件数の合計から計算した(表6)。医療費助成制度は拡大し、助成対象人口は増加しているにも関わらず、いずれの年齢階級でも時間外受診件数はむしろ減少傾向にある。これは、医療費助成制度の拡大によって必要な受診が確保されたために疾病の重症化が防止され、時間外受診が減少した結果であると考えられる。
 医療費助成制度を拡大しても、安易な受診や医療費膨張にはつながらないことが、医療費の動向(メディアス)と社会医療診療行為別調査(e-Stat)のデータから統計的に証明された。このような偏見や憶測にもとづく心無い報道が繰り返される現状のほうが、よほど深刻である。

調査結果資料[PDF:6.69MB]

以上