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薬剤費の膨張にブレーキ
−2000年度〜2017年度における概算医療費と薬剤費の推移−

2018年11月15日

 

 2017年度の概算医療費は42.2兆円で、過去最高を記録した。2000年度からの17年間で比較すると、総額で年間12.8兆円増加したことになる。膨張する医療費の要因はどこにあるのか。厚生労働省が公表している概算医療費データベース(メディアス)の制度別医療機関種類別医療費と社会医療診療行為別統計(e-stat)をもとに、2000年度から2017年度までの概算医療費の推移を薬剤費の動向を中心に分析した。
 2000年度からの医療費の伸びを施設別にみると、調剤薬局は対前年度で初めての減少となった2016年度から、2017年度は増加に転じたが伸びは鈍化した。病院は2009年度より伸びが急峻となり、引き続き高い伸び率を維持している。診療所は緩やかな伸びを示している。歯科は2010年度から微増を続けている。
 入院外医療費(病院、診療所の外来+調剤薬局)は8兆円増加している。伸びの50%は薬剤費の4兆円であり、調剤薬局技術料等の1兆円と合わせると5兆円となり、8兆円のうち5兆円が薬剤関係によって占められる。
 入院外医療費をレセプト1件当たりでみると、対2000年度比で診療所(▲14.5%)、歯科(▲19.3%)と大幅に減少している。一方、天井知らずの伸びを示していたがレセプト1件当たりの薬剤料は対2000年度比で55.4%と高い伸びを示したが、過去最高を記録した2015年度の59.1%には及ばず、伸びの鈍化が認められた。 
 2016年度の入院の薬剤費は0.55兆円で包括医療の拡大により出来高部分が見かけ上減少している。入院外の薬剤費の内訳は外来3.07兆円、調剤薬局5.75兆円である。薬剤費全体で9.37兆円となり、対前年度比0.22兆円増加した。特定保険医療材料は年々増加し、2011年には1兆円を突破し、2017年度は1.23兆円となった。薬剤費と特定医療材料費をあわせると10.6兆円となる。
 2017年度は非改定年度で薬剤費は増加したが、伸びに鈍化がみられる。これは高薬価薬剤等の薬価に引き下げに代表される薬価制度改革の影響と考えられる。しかし、経年的にみると医療費の伸びに占める薬剤費の比率は依然として高い。
 当会は日本の高薬価構造が是正され、その財源が技術料引き上げや患者負担軽減に振り向けられ、国民医療の改善が図られることを引き続き求めるものである。

調査結果資料[PDF:3.06MB]

以上