ホーム


厚生労働省大臣 柳澤伯夫 様

2006年12月6日
全国保険医団体連合会
理事 中島幸裕

介護保険制度の改善を求める要望書

 「改正」介護保険法が施行されて半年以上が経過し、軽度要介護者(要介護1及び要支援者)に係る介護保険制度のあり方が大きな問題となり、介護保険制度への不信が広がりかねない状況となっています。

 つきましては、下記の事項について改善を特に急ぐよう要望いたします。



J 介護認定

1,要介護度区分によって保険給付額を決定する仕組みを廃止し、介護及び介護予防の要否判定をもって保険給付の認定を行うこと。

2,当面、以下の改善を図ること。

1) 主治医意見書の「心身の状態に関する意見」(認知症高齢者の日常生活自立度、認知症の中核症状、認知症の周辺症状、その他の精神・神経症状)、「生活機能とサービスに関する意見」の記載内容を優先する仕組みに改めること。

2)「新予防給付の利用が見込まれない状態像」として、「心身は安定しているが、新予防給付になじまない病態にある者」を加えること。

※「なじまない病態にある者」の例示

労作時の呼吸困難を伴う呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患、喘息等)、パーキンソン病等の神経疾患によるふらつきや歩行障害、大腿骨頚部骨折後、変形性関節症等による起き上がり・寝返り・歩行の障害、リウマチ等による関節痛・腰痛、統合失調症、うつ病による強度の閉じこもり傾向、下肢切断や視力障害等

 3)主治医が「がん末期」と診断した要介護者については、本人の希望があった場合は、認定調査を含めた要介護認定手続によることなく「要介護5」とし、相当のサービス提供を保障すること。

要望理由:新予防給付の実施に伴い、「要介護1」のうち3分の2程度が「要支援1・2」に認定され、認定結果と患者・利用者の状態とが乖離する問題が生じている。これを是正するための事項を要望したい。

K 介護予防

1、 介護予防支援を受けられない、いわゆる「予防プラン難民」を生じないよう、当面以下の対策を講じること。

 1)介護予防支援に係る委託件数について介護支援専門員1人当たり8件までとする 要件規定を廃止すること。少なくとも要件の適用に係る経過措置を2007年度以降も必要な時期まで延期すること。

 2)介護予防支援費(1件400単位)を引上げること。

 3)特定事業所加算の要件のうち「介護予防支援業務の委託を受けていないこと」を求める規定を見直すこと。または、要件の経過的な緩和をはかること。

 要望理由:保団連が実施した地域包括支援センターに対するアンケートの結果によると、介護予防サービス計画作成の見通しについては、「難しいと思う」と回答したセンターは62%にも及んでいる。「難しいと思う」と回答したセンターに対し、介護予防支援を推進する上で改善対策が必要な課題を挙げてもらったところ、第一に必要な課題として、「センターの人員増員」、「1人8件制限の廃止・緩和」、「介護予防支援費の引上げ」を挙げる事業所が多かった。

L 地域包括支援センター

1、地域包括支援センターは、市町村直営による運営を原則とし、市町村保健福祉センターに必置の扱いとすること。

2、人口2〜3万人に1か所を基準に設置すること。併せて、「日常生活圏域」を考慮し、少なくとも中学校区単位に設置すること。

人員配置について次の措置を採ること。

1) 3職種(保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員。以下同じ)については、それぞれ有資格者の配置を本則とすること。

2)1号被保険者3,000人〜6,000人未満に3職種を常勤配置する旨を徹底するとともに、公費による人件費補助を行うこと。

3)3職種とは別に、指定介護予防支援を担当する職員を利用者50人に1人以上の割合で配置すること。

3、運営協議会を地域包括支援センターごとに設置し、地域の事業者、利用者家族代表を参加させること。

4、地域包括支援センター整備に要する費用は、介護保険特別会計に加え市町村の事業として一般財源から必要分を投入すること。

 要望理由:保団連で実施した地域包括支援センターに対するアンケート結果からは、@人員配置基準を満たしていないセンターが半数程度あること、Aとりわけ保健師を常勤配置しているセンターが5割程度と低いこと、B介護予防支援業務に忙殺され、他の業務が手についていないこと等が明らかになりつつある。

 地域包括支援センターの責任主体は市町村であり、その運営・活動の充実・改善を図るには、政府に向けた取組とともに、2007年3月の地方議会に向け増員・増設等の予算を組ませる等の取組が必要である。なお、厚生労働省・古賀老健局長は、「1人8件制限の再延長はない」と言明、2007年4月からこの制限を適用する考えである。

 なお、高知市は、介護予防支援1件2,000円を一般財源より上乗せを実施している。初回加算を加えれば居宅介護支援費と同程度の額になる。

400単位+250単位(初回加算)+2,000円=8,500円

M 福祉用具貸与

1、要支援1・2、要介護1への福祉用具貸与、介護予防福祉用具貸与に関する制限規定を廃止すること。また、対象外とされた種目について、サービス担当者会議(個別ケアマネジメント)で必要と判断した場合は、保険給付の対象とすること。

2、特殊寝台貸与の判断基準として、直近の認定調査項目において「ベッド柵につかまれば寝返り・起き上がりができる」「ベッドをギャッジアップすれば起き上がりができる」に該当する場合も保険給付の対象とすること。

 要望理由:要介護1以下への福祉用具貸与制限 は、約27万人に影響を与えており、例えば要介護1以下の介護ベッドの利用は50万台から23万台に減少している。

 要介護認定の問題と併せ、必要な用具を保障させていく必要がある。

O 介護サービス情報の公表

1、介護サービス情報の公表に関する事務(調査を含む)は、本来、都道府県が都道府県民のために行うべき事務であり、その費用負担を事業者に転嫁する手数料を廃止すること。

2、少なくとも、みなし指定である訪問看護については、手数料規定を即刻廃止すること。

要望理由 介護サービス情報の調査・公表に係る手数料は事業所負担となっているが、手数料の額が高額な上に、毎年の調査と徴収が繰り返されることについて、保団連理事会において実態調査を行うことになった。

 厚生労働省も9月現在で介護サービス情報の公表制度に係る調査を行い、このほど発表したが、制度に対する相談・苦情が「多い」との認識を示しており、必要な改善を図りたい。

◇調査を受けた会員の意見

   現時点で2会員からアンケートが寄せられた。

○ 調査料を社協に払うこと自体納得がいかない。

○ 訪問看護まで手数料を払うのは納得がいかない。支払を拒否した。

○ 事業所周辺の利用者が公表データを検索するのは皆無だと思う。

など。

◇手数料徴収の根拠(厚生労働省の説明)

 厚生労働省によると、事業所から手数料を徴収することについて次のように説明している。

 @サービス情報を報告し、訪問調査を受けることは、介護サービス事業者の義務である。

 A介護サービス情報の公表は、要介護高齢者等が適切かつ円滑に当該介護サービスを利用する機会を確保するために行われるものである。同時に、良質なサービスを提供する介護サービス事業者が選択されることを支援するために行われるものである。

 B地方自治法(227条)によると、地方公共団体は、特定の者のためにするものについて、手数料を徴収することができることとされている。

◇医療機関の情報公開に関する手数料の扱い

 一方2007年度より、医療提供施設は「医療を受ける者が病院等の選択を適切に行なうために」省令で定める事項を都道府県知事へ報告し、都道府県知事は報告を受けた内容をインターネット等で公表することが定められ、情報提供が義務付けられた。

 しかし、東京協会が手数料徴収について厚生労働省担当課に照会したところ、「改正医療法では、公表に関する事務は都道府県事務とされ、手数料に関する規定も設けていない」との口頭回答を得ている。(2006年11月2日)

    

以上