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9.18厚労省交渉総括 厚労省、中医協をミスリード…5分ルールはこうして生まれた

 

08年9月18日 厚労省交渉の議事詳細

 5分ルールの議論は07年11月2日の中医協で始まった。当時の外来管理加算の算定要件に「懇切丁寧な説明」は入っていない。にもかかわらず、厚労省は、あたかも、これが算定要件であるかのように資料を作成し、「懇切丁寧な説明には時間がかかる」「懇切丁寧な説明は5分未満ではできないだろう」と恣意的に議論を誘導していく(これに対して厚労省は、話し合いはあくまで中立的に行われていると主張している)。
 12月7日には「内科診療所における平均診療時間の分布」のグラフを提出し、「内科を主たる標榜科とする診療所において、医師一人当たりの、患者一人当たり平均診療時間の分布を調査したところ、平均診療時間が5分以上である医療機関が9割(10分以上では6割)という結果であった。」と分析している。この資料は「時間外診療に関する実態調査」のデータを流用して作られた。しかし、グラフの「平均診療時間」には、初診や、検査、処置等諸々の診療行為、さらには患者が途切れて診療を行っていない時間までも含まれており、実際の平均診療時間の分布とは全く異なるものであった。
 時間要件の導入に対しては異論が続出し、08年1月18日の中医協でも結論は出なかった。
 1月30日、勤務医対策として診療所より400億円強の財源支援を行うことが決定。このうち外来管理加算とデジタル加算で約200億円が財源として提案された。2号側(診療側)は遂に「再診料を引き下げない代わりに外来管理加算の時間要件をのむ」という苦汁の選択を行った。
 ところが改定後に行われた保団連の影響調査によると、5分ルールによる減収額は、680〜800億円と推定されている。厚労省はどのように試算して200億円という数字を出したのか?
 2月3日の中医協で1号側委員からの「どうして200億円浮くのか」という質問に対して、原(前)医療課長は「私どもの医療課で夜間に延長するときの都道府県調査をやりましたので、その診療時間というものは当然分かっておりますので、総診療時間にそれこそ12を掛ければマキシマムは出てきます。…中略…現在の金額からそこを引くと当然それだけ出てくる。」と回答している。これは、「時間外診療に関する実態調査の調査結果から医療機関ごとに表示診療時間に12を掛けて算定可能な最大数(マキシマムを)出し、それをはみ出した患者の外来管理加算の金額を合計して、これを日本全体に当てはめると約200億円になる。」という極めて大雑把なものである。実際に試算を行うためには、外来管理加算の算定数、そのうち5分未満の患者数の情報が必要となる。しかし、「時間外診療に関する実態調査」の調査項目には、外来管理加算に関するものは含まれていない。それどころか、初診と再診の区別すらない。これで試算ができるはずがない。
 9月18日の厚労省交渉ではこの点に質問が集中した。保団連側は実に28回、200億円の試算根拠を問い、厚労省は頑なに回答にならない回答を繰り返すのみであった。試算は行われなかったと考えざるを得ない。
 200億円(日医の報道では外来管理加算で百数十億円)だからこそ2号側は合意したのであり、これが800億円なら決して合意は得られなかったであろう。外来管理加算5分ルールは、架空の算定要件に基づく議論、データの不正流用(注:厚労省は現在でも不正流用ではない、との見解を崩していない)により捏造された平均診療時間のグラフ、診療時間イコール診察時間の誤誘導、そして最後は試算根拠のない200億円で中医協委員を欺いた結果として生まれた。
 検証部会での調査結果をみて検討、などと悠長なことは言っている場合ではない。見直すべきは厚生労働省のモラルであろう。