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厚生労働大臣 舛添要一 様

都内における妊婦死亡事例を踏まえ救急医療確保の一層の強化を求める

2008年10月30日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 出産間近で体調不良を訴えた東京都内の女性が、都内8病院から受け入れを断られ、出産後に脳内出血で死亡した。死亡した妊婦のご冥福をお祈りするものである。
このような事態が起きた原因は、様々な要因があると考えられ、個別具体的な問題点の把握と改善が必要なことはいうまでもない。
同時に、解決されなければならない問題として、全国的な医師不足、産婦人科医不足がある。地域医療に携わる開業医の団体として、あらためてこの問題の解決を国や自治体に強く求めるものである。
都立墨東病院は、都内に9カ所ある総合周産期母子医療センターに指定されているほか、すべての救急患者を24時間受け付ける緊急救急施設「東京ER」も兼ねる都の拠点病院である。しかし、産科は医師の退職が相次ぎ、定数9人の常勤医が4人まで減少。7月からは本来2人体制だった土日と祝日のセンターの当直医を1人に減らしていたところであり、救急受け入れを制限していたと報道されている。
そもそも定数9人で複数当直体制をとるのは困難であり、こうした厳しい労働条件が医師不足を生み出している要因の一つである。
また、厚生労働省研究班報告では、出生数1000人当り3床のNICUが必要としているが、東京都は1.9床しかない。
全国に広がる産婦人科医不足に対して国が有効な手立てをとってきたのか。また、産婦人科医が不足した段階で有効な手立てを東京都がとってきたのかが、追求されるべきだ。
医師不足を生み出した原因は、保団連が何度も指摘したように、絶対的な医師の養成不足があり、医学部の定員削減を決めた97年の閣議決定が今回の事件の遠因である。
今年になって医師の養成数を増やす方針に転換したものの、その内容はまったく不十分であり、現状の医師不足を解決できる内容ではない。
国においては、下記の施策の実現に全力をあげるよう、強く求めるものである。

一 全ての都道府県で出生数1000人当り3床以上のNICUを確保するよう、特別な手立てを講じること。
一 就労医師数目標が早期に実現できるよう、職場環境の改善に全力をつくすこと。
@ 院内保育所等の設置や補助金の増額を行うこと。
A 医療機器の更新、改築などに対する補助金を増額・創設すること。
一 医師不足などによって救急受入が困難になった場合は、直ちに近隣の医療機関にその旨通知するとともに、必要な医師確保対策を早急にとること。
一 救急医療体制を確保するためには、地域医療体制の底上げが必要であり、一次救急、二次救急確保のため国が必要な予算措置を講じること。また、診療所や中小病院を含めて、4回(8年)連続の診療報酬引き下げ分を元に戻し、診療報酬を大幅に引き上げること。
一 救急センターに対する評価基準を厳しくし、診療報酬や補助金をカットする計画をやめ、全ての救急センターに必要な財政的援助を行うこと。
一 就労医師数目標を最低でもOECD諸国平均値以上にすること。そのため、医学部の定員を増加すること。