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原発による健康被害対策、損害賠償などを求め文科省要請

 

 6月9日、保団連も加盟する医療団体連絡会議は、衆議院議員会館内で東京電力福島原発事故での住民の健康被害対策並びに医療機関等への早急な被害賠償などを求めて要望書を文部科学省に提出し、交渉を行った。保団連からは、市川誠、斎藤みち子、杉山正隆各理事、菅原浩哉福島県保険医協会事務局長らが参加した。

 愛知県から参加した斎藤保団連理事は、今回の福島原発事故は未曾有の事態であり、よそ事ではなく身内のこととして身につまされる、と述べ、愛知県内の医師・歯科医師922名から寄せられた静岡県浜岡原発の廃炉とエネルギー政策の転換を求める署名を文科省に手渡した。
 長瀬文雄全日本民医連事務局長は、年間の公衆の被曝線量限度について文科省が4月19日に国際放射線防護委員会(ICPR)の最低基準であるこれまでの1ミリシーベルトから一気に最高基準である20ミリシーベルト、一時間当たり3.8マイクロシーベルトに引き上げたこと、特に子どもにもこの基準を適用したことが問題だとした。この子どもの基準は、内外から批判があいつぎ、5月27日高木義明文科相は、年間1ミリシーベルト以下を目指すと会見したが、その真意を質した。応対した文科省科学技術・学術政策局原子力安全課の宮澤武志総括係長は、「考え方は当初と変わっていない」と回答。長瀬氏は、日本医師会、日弁連なども批判しているのに改めないのは問題だ、1ミリシーベルト以下とすべきだと強調した。関連して、福島県保険医協会菅原事務局長は、国としてのきめこまかな放射線汚染状況の把握と情報公開が不十分だ、真に正確かつ詳細な情報を公開すべきだと指摘。文科省がホームページ上で公開している放射線汚染状況は大まかな上、画像も不鮮明だ。地元では小児・学童の親は心底心配しており、高価な線量計を購入して自己防衛せざるを得ない、と速やかな改善を求めた。

 一方、原発被害の賠償について回答した文科省研究開発局原子力損害賠償対策室の山中満理子係長は、「相当因果関係のあるものはきちんと(東電に)賠償させる。一刻も早く賠償できるよう全力を尽くす」などとした。
  これに対して福島協会菅原事務局長は、被害賠償に関して、原発事故により避難・退避を余儀なくされた開業医を含めた被災民の状況は非常に厳しい。義援金の支給の遅れもある。7月をめどに被害賠償調査を行うとするなど悠長すぎる。特に生活資金に困っているとの切実な声も出されており、東電が対応できないというのであれば,緊急に国として資金投入すべきだと強く要望した。また菅原氏は避難区域対象外の南相馬市原町では、自主的に避難していた6万人の方々のうち半数が戻り、多くの開業医も診療を再開しているが、人口減にともない患者も収入も減っているとし、早急な医療機関の支援対策を求めた。

 最後に、長瀬民医連事務局長からの文科省が学習指導要領に基づき行っている義務教育児童への「原発の安全性」教育を、次年度から止めるのかとの質問に対して、原子力安全課の宮澤総括係長は、「所管外で回答できないが、各省横断の原子力災害対策本部にそのことも含めてきちっと要望をお伝えする」と述べた。