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算定制限は不合理
特定疾患療養管理料、実態調査を基に要請

(全国保険医新聞2015年10月25日号より)

 

 保団連は各県における特定疾患療養管理料の減点査定の実態を明らかにするため、今夏「特定疾患療養管理料における退院後1カ月以内の算定制限に関する全国実態調査」[PDF]を実施し、9月18日付で調査結果を取りまとめた。また、同日付で結果を中医協委員、社保審医療保険部会委員、マスコミおよび各関連学会等に対して公表した。

 糖尿病や高血圧などの慢性疾患の長期管理を評価する特定疾患療養管理料について、外来で管理している慢性疾患が主病でない入退院や他院への入退院後、1カ月以内は外来での算定を認めない減点事例に不合理を感じているとの報告が多く寄せられていた。調査結果では、回答のあった5,081医療機関のうち、約半数が「当該算定制限が原因と思われる減点査定」を経験しており、全体の8割以上が「当該算定制限を廃止すべき」あるいは自院の入院に限るべき」と回答した。

医療機関の連携も阻害

 入院の有無にかかわらず、慢性疾患の管理はかかりつけの診療所が行っている。退院から1カ月以内の特定疾患療養管理料を一律に算定できないとすると、病院・診療所の連携や、慢性疾患を日常的に管理する医療機関と専門医療機関との連携も阻害しかねない。 保団連は厚労大臣宛ての要請で、▽特定疾患療養管理料において、告示・通知で規定されている「退院の日から1カ月以内に行った管理の費用は入院基本料に含まれる」とする規定を廃止すること、▽特に、当該算定制限を他院での入院にも適用するのは不合理であり、絶対に止めること―を求めた。

 

「廃止すべき」「自院の入院のみに」 8割

特定疾患療養管理料の算定制限

 保団連が今年7月から8月にかけて実施した「特定疾患療養管理料における退院後1カ月以内の算定制限に関する全国実態調査」の結果を紹介する。

全国の会員に実態調査

 特定疾患療養管理料は、糖尿病や高血圧などの特定の疾患を主病とする患者に対し、治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合に、月2回に限り算定できる。点数表告示では「入院中の患者に対して行った管理又は退院した患者に対して退院の日から起算して1月以内に行った管理の費用は入院基本料に含まれる」と規定されている。
 本年3月に京都府保険医協会が実施した会員調査の結果、この点数について「入院患者が自院だけでなく"他院"を退院した場合であっても、退院日から起算して1カ月以内には同管理料を算定できない」とする不合理な審査上の取り扱いがされている状況が明らかとなった。
 そこで、保団連医科社保・審査対策部では、当該算定制限が地域のかかりつけ医療機関(継続的に慢性疾患等を管理している医療機関)に対して不合理を強いている実態を明らかにすることを目的として、今年7〜8月に調査期間を設定し、全国の内科系会員の意見を集約するための調査を行った。

半数が他院退院後の減点査定を経験

 保険医協会・医会の協力の下、34都県より5,081件(先行調査を実施した京都を除く)の有効回答が寄せられた。
 調査の結果、約半数の2522医療機関(全体の49.6%)が他院退院後1カ月以内の算定制限を原因とする減点査定を経験しており(図1)、減点査定を経験していない医療機関も含め、全体の85.0%が当該算定制限を「廃止すべき(44.9%)」または「自院の入院に限るべき(40.1%)」と回答した(図2)。また、減点査定を経験した2522医療機関に限れば94.8%が当該算定制限について「廃止すべき(47.8%)」または「自院の入院に限るべき(47.0%)」と回答した(図3)。

図1 減点事例の有無図2 算定制限に対する考え方図3 減点が「ある」と回答した医療機関の算定制限に対する考え方

入院あっても慢性疾患管理は自院で図4 改善を求める理由(複数回答可)

 さらに、算定制限を「廃止すべき」または「自院の入院に限るべき」と回答した4,318医療機関に対してその理由を質問したところ、「外来での慢性疾患管理は当院が行っている(83.6%)」、「病院・診療所の連携が損われる(28.9%)」、「医療機関経営を圧迫する(17.6%)」、「慢性疾患を有する患者の外来受診を阻害する(17.1%)」等の結果となった(図4)。
 8割を超える医療機関が「慢性疾患の管理は自院で行っている」との認識であり、外来の慢性疾患を日常的に管理している医療機関では、患者の入退院に関わらず継続的に管理を実施している状況が読み取れる。
 しかし、現実には外来での慢性疾患管理に対する不当な減点査定が行われており、多くの会員が当該算定制限に対して不合理を感じている実態が明らかとなった。また約3割の回答医療機関で「病診連携が阻害される」と感じていることも分かり、当該算定制限が地域連携の推進に対してマイナスに作用していることも明らかになった。
 保団連は、「当該算定制限は、外来でかかりつけ医が行う疾患管理に対する評価を否定するだけでなく、地域における病診連携や、患者への切れ目ない医療提供をも阻害する恐れがあり、絶対に容認できない」との立場で、本調査結果を最大限活用しつつ、引き続き問題の解決に向けて取組みを進めていく。

寄せられた声

■患者が話さなければ入院歴を把握出来ない。
■他院の1日入院等は患者自身が入院と認識しておらず、患者に聞いても完全に把握できない。
■検査入院のための短期入院が増えており、報酬の低下につながる。
■抗癌剤投与などで短期入院を毎月繰り返す患者には、事実上当院の管理料がとれないため、療養指導を行えない。
■例えば白内障の手術のため日帰りまたは1日入院した場合、眼科で高血圧・糖尿病・高脂血症の管理をしているとは考えられない。
■1カ月経過しないと算定できない根拠が不明。
■月2回算定は外来受診時の診療、検査、投薬と関わる医療に対する評価であり、入院の有無は関係ないはずだ。
■退院後にこそ、特に厳格な療養管理が必要。
■窓口負担が変わるので、受診者に不信感を抱かせる可能性がある。

以上