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医療現場は限界
―プラス改定求め緊急行動―

(全国保険医新聞2015年12月5日号より)

医療現場から切実な訴えがされた緊急行動のもよう
医療現場から切実な訴えがされた緊急行動のもよう

 全国保険医団体連合会などで作る医療団体連絡会議(医団連)は11月19日、参議院議員会館で「診療報酬のプラス改定を求める緊急行動」を開催した。医療関係者ら200人が集まり、医療現場の実態を訴えた。

 保団連の斉藤みち子副会長は基調報告で、「骨太の方針2015」などで「社会保障費抑制や社会保障分野の市場化の方向が示され、その方向に沿って診療報酬を改革推進の道具に位置付けている」と指摘。「社会保障は国民の健康と安心の提供にとどまらず、個人消費を押し上げる効果がある」として、社会保障抑制策の撤回、診療報酬のプラス改定を求めた。

看護師の3人に1人が切迫流産

 保科時子さん(病院看護師)は、慢性疲労74%、妊娠者の3分の1が夜勤免除されず、3人に1人が切迫流産―など、看護師の深刻な労働実態を紹介。これは手厚い看護体制と言われる「7対1」病棟基準が6割を占めた上での結果であり、勤務環境改善につながる診療報酬プラス改定が必要とした。

在宅に帰れない患者が入院できず

 加藤千鶴子さん(病院総看護師長)は、患者や利用者が高齢化し、独居や認知症が多い、自宅に退院できない患者も多く、ウィークリーマンションで亡くなる高齢者もいると報告。看護の現場は、在宅復帰率基準に縛られ入退院の調整に走り回る毎日で、在宅に帰れない患者は、入院ができないことになってしまうと述べた。さらに、看護の質や病院全体の医療の向上、看護師の労働環境改善に十分な時間をとることが困難になっていると訴えた。

薬局の役割、正しく評価を 

 島野清さん(薬剤師)は、薬剤師は有効で安全な薬物療法の推進の一翼を担い、ますますニーズが高まる在宅訪問指導も行っていると述べた。高齢者は残薬も多く適切に対応するのに苦労するが、それを実践してこそ薬剤師機能が発揮されるとし、次期改定では、かかりつけ薬剤師・薬局の薬学管理や在宅医療への貢献度を規模の大小にかかわらず正しく評価してほしいと強調した。

口腔の健康が損なわれる

 田辺隆さん(歯科医師・保団連副会長)は、歯科では在宅歯科診療の充実、医科との連携の推進が重要課題と話した。超高齢社会が進み、補綴が増えていくことが予想されるが、高齢者窓口負担のさらなる引き上げにより、受診抑制が起き、結果として口腔の健康が損なわれると指摘。この国を支えてくれた高齢者の方たちに優しい歯科医療を提供したいと訴えた。

歯科技工士の離職率8割

 関多革司さん(歯科技工士)は、 歯科技工士の20〜30代の離職率は約8割、低賃金・長時間労働など劣悪な環境から精神的・肉体的に追い込まれて離職していくと告発。公的な歯科医療を支える担い手が不足する危険を訴え、歯科技工士が生き生きと働ける環境をつくるためには、大幅な診療報酬引き上げが必要だと述べた。

以上