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生態破壊が明らかに
―第30回公害視察会で川内原発―

(全国保険医新聞2015年12月15日号より)

 

 第30回保団連公害視察会が11月21、22日に鹿児島県内で行われ、九州電力・川内原発を視察した。医師・歯科医師ら33人が参加した。再稼働直後の視察となり、地元テレビ局が取材し、地元紙も報道するなど注目を集めた。

海洋生物が死亡、漁獲量は激減

 学習講演では、ストップ再稼働外3.11鹿児島集会実行委員会事務局長の向原祥隆氏が講演した。川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)からは九州第二の大河川である川内川と同じ流量の温排水が放射能とともに放出されており、海洋生物の死亡漂着や漁獲量の激減など、さまざまな異変が起きていることが報告された。また、九州電力が、温排水の拡散範囲を偽って県や薩摩川内市に提出している事実が指摘された。

30年経過の老朽 原発、損傷激しい

 視察団は、九州電力の許可を得て、原子炉建屋の敷地内に入り見学した。現地ガイドは、川内原発2号機は運転開始から30年が経過した老朽原発であり原子炉の損傷が激しく、旧型蒸気発生器の交換約束も九州電力が反故にしていると指摘した。また、大気中の放射線量を継続的に測定するモニタリングポストの電源が電力不足のため断続的に測定不能となっていたことなどを紹介した。

医療機関の避難 計画不十分

 交流会では、鹿児島協会理事の青山浩一氏が、川内原発過酷事故における緊急被曝医療に関するアンケート結果を報告。青山氏は過酷事故時の医療機関での避難対策などが不十分な実態を指摘。また、万一の被曝の際の安定ヨウ素剤を処方する方法などを解説した。
参加者は最後にJR川内駅前で白衣を着て宣伝を行った。
「約3万年前の姶良カルデラの噴火では火砕流の到達範囲が現在の原発の敷地にまで及んでいることが専門家から指摘されており、立地上の危険が大きい」「一度事故が起きると風向きなど気象条件で九州全体はおろか東北にまで放射性物質が降下する恐れがある」など、原発の危険性を訴えた。

原発ゼロを

 視察会では、川内原発の即時停止を求めるアピールを採択。企業利益を優先して、老朽化した原発を稼働させる国と九州電力を批判した。また、テロなどで原発が意図的に攻撃された場合の対処施設の設置が義務付けられているが、審査の遅れを理由に2020年まで猶予されていることを指摘した。

参加者の声

■美しい自然を残してほしい( 大阪歯科協会 飯道 利幸)

 学習講演した向原祥隆氏から、海水温が上昇し、魚やウミガメが死亡漂着していること、魚の生態が変化していることを聞き、驚いた。原因は原発の温排水の関与が疑われるという。
翌朝、川内原発を視察した。道の脇には「原発反対」「原発推進」両方の立て看板があり、住民の複雑な思いを感じた。九電の案内の人は「安全対策はしっかりしている」と強調していたが、福島のこともあり、これで十分なのだろうか。川内は神話にまつわる風光明媚な町である。この美しい自然を残してほしいと思いつつ、川内を後にした。

■言いのようのない怒りと失望(奈良協会 宮際 幹)

 向原祥隆氏の講演では九州電力のいわゆる悪行三昧(環境破壊、虚偽と金権による地域破壊)ならびにずさんな避難計画の話があり、翌日は川内原発の視察と新幹線川内駅前で参加者全員の街頭宣伝を行った。
 一見のどかな日本の田舎に時限爆弾のような危険物が30年間あり、もうすでに十分なくらい地域を破壊しているのに、再稼働により3.11に至るようなリスクをさらに高めていることに言いようのない怒りと失望を覚えた。
 なぜ日本は失敗に学ばないのか。現状追認、先送りをいつまで続けるのか。地区の小学校が廃校になり子供が逃げ出しているというのに、それよりももっと大事な国益があるのだろうか。国の真意を明らかにしなければならない。

以上