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医療費窓口負担免除の打ち切りで 受診を「減らす」「やめる」4割
―宮城協会アンケート―

全国保険医新聞2016年3月15日号より)

 

4月からは一部市町村でのみ継続

 宮城県の市町村国民健康保険(国保)と後期高齢者医療制度に加入する東日本大震災の被災者の医療費負担免除は、一度打ち切られた後、対象者を限定した形で再開された。しかし国の追加支援が4月以降明確になっておらず、2月に県の後期高齢者医療広域連合長の奥山恵美子仙台市長は継続が厳しいとの考えを示した。仙台市などの26市町村も、国保加入者に対する免除を打ち切るとしている。

免除限定に不満も

 宮城県保険医協会は、昨年11月から1月にかけ、宮城県内の仮設住宅および災害公営住宅の居住者を対象にアンケート調査を実施し、2,527件の回答を得た。回収率は21.3%。
 回答者のうち、現在窓口負担が免除されているとした1,391人に、免除が終了した場合、医療機関を受診するか聞いたところ、「これまで通り受診する」との回答が47.2%、「受診回数を減らす」が29.7%、「受診をやめる」が7.8%となった(図1)。
 宮城県内では一昨年度から、住民税が非課税で@住家が大規模半壊以上、A住家が半壊でその住家をやむを得ず解体した場合、B主たる生計維持者が死亡または行方不明となった場合、のいずれかに該当する国保と後期高齢者医療加入者のみを対象に免除を実施しているが、48.8%の回答者が納得できず、拡充を求めている(図2)。また、回答者の8割以上が現在持病を抱えていた(図3)。
 宮城協会は調査結果を記者発表し、地元選出の国会議員や国、県、市町村、県会議員に免除の継続と拡充を要望した。

 

被災高齢者の生活困窮

宮城県保険医協会副理事長 杉目 博厚

 宮城県では岩手県と異なり、被災者の医療費窓口負担免除に所得制限があり、対象者はいわゆる「経済的弱者」に限られている。彼らにとって、医療費窓口負担免除措置は「命綱」そのものだ。
 今回の大震災で津波の大きな被害を受けた沿岸部は高齢化が進み、自営業者が多かった地域だ。そのため、家や財産など全てを失った高齢者の多くはわずかな年金のみで暮らしており、経済的困窮から抜け出すことは極めて難しい。免除がある現時点でも、医療機関へのアクセスが乏しいため通院にかかる交通費(タクシー代など)で支出がかさみ、災害公営住宅に入居していれば、家賃も発生する。ギリギリの生活をしており、免除が打ち切られれば受診を抑制せざるを得ない。
 また、アンケートでは、免除なしの方から「えこひいきだ!」「同じ被災者で同じ病気を持ってて、保険の種類でなぜ区別する?」「土地を売ったら免除対象からはずされた。おかしい」などの不公平感を訴える声が多数寄せられた。不公平感は住民どうしの心理的なわだかまりの原因にもなっている。
 広域連合の免除の打ち切りにより、疾病率、有病者率が高く、より受診が必要な後期高齢者に窓口負担が発生するという、倫理的におよそ許容できるはずもない不条理が生じる。これは絶対に許されない

以上