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保団連勤務医交流会「『延期』求める声 理解できる」
―専門医機構 有賀副理事長が講演―

全国保険医新聞2016年6月15日号より)


過去最高の18協会・医会から66人が参加した勤務医交流会

 保団連は6月5日、仙台市で第8回勤務医交流会を開いた。

講演する有賀氏

 交流会では日本専門医機構副理事長で、労働者健康安全機構理事長の有賀徹氏(前昭和大学病院院長)が「新専門医制度と総合診療専門医」と題して記念講演を行った。
新専門医制度については、2017年4月からの研修開始の延期を求める声が相次いでいる。有賀氏は、「指導医の確保の問題など地域医療への懸念が生じている」とし、予定通り実施することで、初期臨床研修制度が始まったときと同様の「地殻変動」が起きるようでは困る、医療界などから「しばらく頭を冷やせ」という声が出ていることは十分理解できる、との認識を示した。

「町の風景」が見えていない

  また有賀氏は、こうした「紛糾」「混迷」の原因は、「キャリアオリエンテッドではなく、机上のプログラムオリエンテッドで始めたので地域医療への懸念が生じた」、「中小医療機関の先生方がそれぞれの地域で、医療やその他の地域活動を含め、どのようなことをしているか。こういう『町の風景』を踏まえないまま、統一基準やプログラムなどの議論がされている」とした。
 総合診療専門医については、「高齢社会と医療の進歩の中で、チーム医療は歴史的必然。既に病棟においては医師を中心にして、さまざまな医療職が協業している。この協業を病棟から地域に広げるのが総合診療。組織的な医療は病棟の中だけでなく、地域の中でも必要」と指摘した。
 医療の今後について有賀氏は、「公正と正義」を強調。限られた医療資源を公正に分配するという職業倫理が医師にも求められると話した。
 質疑応答で、「新専門医制度の下で指導医、専攻医の身分保障がはっきりしない」との質問に対して有賀氏は、「専攻医等の身分の話は、機構でも議論が深まっていない」と答えた。
 また、「新専門医制度における女性医師のキャリアパス」についての質問に、有賀氏は「女性がキャリアパスを展開できる職場を作ることが、全体の職場環境を良くし、患者さんのためにもなる」と指摘。「機構としての検討は、止まっているのが現状。17年からの実施を危惧する声には、この問題意識もあると認識している」と述べた。

勤務医交流会に過去最高の参加

 勤務医交流会には18協会・医会から66人が参加した。過去最高の参加者数での開催となった。
宮城・坂総合病院の佐々木隆徳医師が、東日本大震災時の同院での救急対応について特別報告した。4月の熊本地震もあり、全国どこでも大災害が起こり得る中、同院での取り組みや教訓に関心が寄せられた。
 このほか勤務医部会・委員会のある宮城、東京、愛知、大阪、熊本各協会の活動が報告された。その他の参加協会・医会からも発言があった。

以上