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オプジーボ国内価格 英の5倍、米の2.5倍
―保団連 高薬価是正を求め記者会見―

全国保険医新聞2016年9月15日号より)

 

 全国保険医団体連合会は9月6日、厚生労働省内で、抗がん剤オプジーボに関する緊急の薬価引き下げを中心とした薬価制度改善を求める要望について記者会見を行った。当日は全国紙、地方紙やNHK、医療専門誌の20社から21人が参加。記者会見に先立って、塩崎恭久厚生労働大臣宛ての要望書を送付した。

厚労省 10月中にも対応判断

 現在、中央社会保険医療協議会(中医協)において、抗がん剤オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの「高額薬剤」を対象とした薬価引き下げ等に関する緊急対応策が検討されている。
 保団連政策部で、英国で医薬品の技術評価を行うNICE(国立医療技術評価機構)の資料等について分析した結果、オプジーボについて日本の薬価が英国の5倍、米国の2.5倍など国際的にみても非常な高値で算定されていることなどが分かった。
 政策部前事務局小委員の小薮幹夫氏は「途方もなく高い薬価を一刻も早く正常化する必要がある。中医協での議論の基準として参考にしてほしい」と訴えた。
 要望では、国民皆保険制度を維持しつつ、経済力に関わらず患者・国民に良質な医療を平等に保障するためにも、▽オプジーボについては期中改定を行い、英米独仏の実勢価格を踏まえた水準に引き下げること▽現行の新薬を中心とした高薬価制度の是正―が急務としている。
 厚労省は、オプジーボの薬価引き下げも含めた緊急対応の実施の有無について10月中にも判断するとしている。今回のオプジーボを含め新薬の薬価設定の在り方・手続きをめぐり、中医協では、診療側・支払側の委員双方から、抜本的な是正・改革を求める声が相次いでいる。引き続き、保団連では働き掛けを強める。

医療者、患者の共通の思い―住江会長

 住江憲勇会長は、冒頭「緊急にオプジーボの薬価を引き下げるとともに、薬価算定過程を今こそ透明化することを求めたい」と会見の趣旨を説明した。
 保団連は2011年に薬価国際比較調査を発表して以来、日本の高薬価、高薬剤費構造を指摘し、薬価算定方法そのものにメスを入れるべきだと訴えてきた。とりわけ近年のオプジーボを始めとする「高額薬剤」については、薬剤を必要とする患者の重い負担となり、医療保険財政を圧迫する原因になっている。住江会長は「薬価を引き下げることは、医療者、国民・患者共通の思いだ」と強調した。

日本と英国で5倍の開き―小薮前事務局小委員

 小薮幹夫・大阪府保険医協会事務局(保団連前政策部事務局小委員)は、オプジーボについて「妥当な薬価が算定されたのか」と提起。英国の高額医薬品の費用対効果評価を行うNICE(国立医療技術評価機構)の資料等の分析から、オプジーボ薬価(100mg/10ml)は日本で約73万円なのに対し、米国約29・8万円、英国約15万円となっていることを指摘した。日本の価格は米国の2.5倍、英国の約5倍。英国での実際の小売価格はさらに引き下がることが想定され、そうなれば10倍の開きに及ぶことも指摘された。
 小薮氏は、「途方もなく高い薬価を一刻も早く正常化する必要がある。中医協での議論の基準として参考にしてほしい」と要望した。

背景には薬価制度、算定ルールの矛盾

 小薮氏は桁違いに高い薬価を生み出す背景として、日本の薬価制度、薬価算定ルールの問題点を指摘。「高い薬価で薬価収載されるとその価格が長期にわたり固定化される」として、高薬価構造を下支えする流通の仕組みや、薬価算定ルールの問題点を指摘し、改善を求めた。
 自由価格制度で値付け水準が高い米国でも、市場価格は需給バランスで決まり、当初価格が大幅に引き下がる。ところが、日本では、製薬企業が卸に対して「仕切価格」を設定し、次の薬価改定まで原則として値下げをさせないことで、製薬企業が医療機関納入価を実質的に決定することが可能になる。また、革新的新薬について、後発品が上市されるまでは薬価改定の対象から除外される「新薬創出等加算」により、平均して12年間、新薬の市場実勢価が大幅に下がることはない。

薬価算定過程の公開を

 さらに、薬価算定方法そのものについて、小薮氏は「厚労省の担当者の裁量が大きい上、算定の根拠・基準が明らかにされていない。事後的な検証が不可能になっている」と指摘。新薬の薬価は、厚労省の薬価算定組織が原案を検討し、算定案を策定した上で、中医協総会の了承を得ることになるが、薬価算定の根幹部分を議論している薬価算定組織の議事録は非公開となっている。小薮氏は、「議事録が公開されていないことは、その意思決定を検証するための基礎資料がないということ」「現在では閣議決定でさえ議事録が公開されているのに、薬価算定はブラックボックス」と述べ、新薬の薬価算定プロセスの公開を強く要望した。

 

以上