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阪神・淡路の教訓生かし 兵庫協会がシンポジウム
―熊本地震復興の課題を探る―

全国保険医新聞2016年9月15日号より)


病院の被害の解説に参加者はうなずいたり、メモを取ったりしながら聞き入った

 

 兵庫県保険医協会は神戸市内で8月6日、シンポジウム「熊本地震から4カ月―被災地の医療―生活の課題」を開催した。兵庫協会が継続的に被災地を訪問する中で関係を築いた熊本県内の医師・歯科医師、歯科衛生士、外国人居住者をパネリストに迎え、被災地の現状と復旧・復興に向けた課題を多角的に探った。医療関係者、市民ら約100人が参加した。

 

職員も被災者―病院復興の課題

 熊本市東区にある本庄内科病院は地震によってスプリンクラーが誤作動し院内が水浸しになるなど大きな被害が出た。
 同病院院長で熊本協会常任理事の本庄弘次氏は、災害時に医療機関が果たす「公共」の役割を強調しながら病院復興の課題を考察した。病院機能の維持のため支援物資の管理や行政との連携などを円滑に進める意思決定の体制を速やかに作ることが必要と強調。一方で「職員家族の生活の復興なくして、病院の復興はできない」と話し、職場独自の無理のない復興計画を作ることが重要だと述べた。

 

誤嚥性肺炎予防に奔走

 歯科医師の山口彩子氏は、大規模土砂災害で甚大な被害が出た南阿蘇村で口腔ケア支援を行った。阪神・淡路大震災の教訓が生きたと話し、歯磨きによる誤嚥性肺炎予防の重要性を強調。また、「歯磨きという日常的な動作を行うことで平常心を取り戻す効果もあるのでは、と感じた」と経験を語った。
 JMAT兵庫に歯科医師として初めて参加し熊本の支援に従事した兵庫協会理事の足立了平氏が特別発言し、「阪神・淡路で誤嚥性肺炎が増加し、震災関連死につながった。反省を知らせる義務がある」と語り、「地震を止めることはできないが、被害は努力で軽減できる」と訴えた。

 

全国の人的資源活用を

 ゲストコメンテーターを務めた保団連理事の杉山正隆氏は、熊本県行政側には「初めての事態だ」として不十分な対応が目立ち、過去の教訓を生かせていないと指摘した。医療支援体制について「被災した医療者が被災者を支える限界を感じた。全国の人的資源の活用が今後の課題」とし、保団連としても国に被災者支援を求めていくと話した。
 この他、南阿蘇村の介護施設などで口腔ケアに従事した同村出身の歯科衛生士・村本奈穂氏、外国人ゆえの被災時の混乱を経験した崇城大学専任教員のディヌーシャ・ランブクピティヤ氏が話をし、地震の被害や支援の様子を描いたスライドも上映された。

以上