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「診る」意味が問われる
―保団連がシンポジウム 遠隔診療めぐり議論―

全国保険医新聞2017年7月15日号より)

 

石川日医常任理事 原(株)情報医療代表取締役

 政府は2018年の診療報酬改定で、パソコンの画面等を通じて患者を診る遠隔診療の評価を拡大する方針だ。患者の負担軽減につながると肯定的な意見がある一方、安易な利用に慎重な意見もある。全国保険医団体連合会が7月2日に開催した夏季セミナーのシンポジウム「医療情報電子化の今と未来」では、遠隔診療についてあるべき診療のあり方にまで遡った活発な議論が展開された。

 

 シンポジウムは、日本医師会常任理事の石川広己氏と株式会社情報医療の代表取締役である原聖吾氏をパネリストに招き、保団連理事の本田孝也氏がコーディネーターを務めた。


スマホ使い診察、処方箋は郵送

診療のあり方をめぐり、活発な議論が展開
された。左から本田氏、石川氏、原氏

 原氏は、自らの会社で取り組んでいる遠隔診療の事業を紹介。患者はスマートフォン、医師はパソコン等を介して問診のやりとりをした上で、医師が診察や診断の内容を患者に通知するというもので、患者がスマホを用いて決済し、医薬品や処方箋が郵送される。医療機関にはシステムの導入・維持費用は発生せず、患者が決済のたびに一部負担金とは別に500円を支払う。
 原氏は、3年から5年の治療が必要となる花粉症の舌下免疫療法で、対面診療のみの場合よりも遠隔診療を組み合わせる方が治療継続率が高くなるという観察結果を紹介。エビデンスが課題とした上で、遠隔診療が治療継続に貢献できるのではないかと述べた。

 

患者の生活も「診る」医療

 石川氏は「遠隔診療のニーズは理解するが、対面診療が基本だと思う。たとえば患者が診察室に入ってきたときに、においで尿漏れがひどいかがわかる。服を上げた時に垢がひどければ風呂に入れていないかもしれないなどの生活の状態も推測できる。それらも含めて診るのが医療だ」と指摘。原氏も、「遠隔と対面の適切な組み合わせが原則であり、私たちの提供するシステムでも、初診は対面診療していただいている」と述べた。
 遠隔診療で誤診が生じた場合の責任について原氏は、「医師が負う」とした上で、「私たちのシステムは、患者と医師の間に長期にわたる信頼関係がある場合や、医師が患者の容態をある程度分かっている場合に用いられている」と説明した。
 石川氏は、厚労省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では情報漏えい防止のため、医療者による医療情報の送信に関する厳格な規定があり、個人所有のデバイスの利用は原則として禁止されていると話し、遠隔診療でスマホを用いて医療情報をやりとりする際にも、患者の同意を得た上で安全性の高いネットワークを用いることが重要と指摘した。

 

診療所に来られる環境づくりを

 シンポジウムのまとめで保団連副会長の高本英司氏は、「医師としては、患者が診察室に入ってきたときの雰囲気も含めて全体を診るような医療を続けたい。多忙等を理由に診療所まで来られない患者が多ければ、来られるようにするための社会的な取り組みを考えていくのが保団連の課題ではないか」と問題提起した。

以上