2015・No.1191
月刊保団連 7
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「道」
公共施設の統廃合・再編と自治体・地域の将来
森 裕之
特集
在宅医療の現場から
第3世代の在宅医療の現状と課題
〜在宅医療の歴史と保団連アンケート報告より〜
● 1980 年代半ば、「定期往診」という新しい在宅医療が始まり(第1世代)、その後も国が入院から
施設へ、施設から在宅へと舵を切る中で、在宅医療を担う若い世代が台頭した(第2世代)。
● 保団連のアンケートから、在宅医療の中心は依然として第1世代と第2世代が担っていることが分
かった。今後は50 歳以下の第3世代の参入が鍵になる。診療報酬などの政策的支援とともに、基
幹病院との連携やネットワークづくりなどで若い医師を支える取り組みが重要になってくるだろう。
鈴木 郷
大都市部における在宅支援診療所の現状と問題点
● 診療所医療に従事し約17年。超高齢化社会となり、在宅医療の強化がうたわれている割には、訪問診療の現状はさまざまな困難に見舞われている。特に東京など大都市部では独居・老夫婦2人所帯が増え、介護力低下が進んでおり、所得格差も拡大している。急変時の入院・入所施設が少な
く、医療保険制度・介護保険制度の改悪がさらに診療現場の困難を増幅している。在宅支援診療所
の現状から見えてくる問題点を報告する。
竹ア三立
「在宅医ネットよこはま」の取り組み
● 在院日数の短縮のために仕方なく在宅療養を選択する患者と家族、医療依存度の高い患者の在宅移行が増えている。安心して療養できるように町として支えていこう。
● 在宅を担う医師が少なくて在宅医療ができない地域があり、営利目的とする在宅専門診療所が開業する問題があり、地域で一次から三次在宅の役割分担しながらかかりつけ医にどんどん参加して頂きたい。
● 「一人で行う在宅医療からみんなで行う在宅医療へ」をスローガンに各地区で在宅医のネットワー
クを作り多くの患者に安心を提供していきたい。
岡田孝弘
中山間地域において最期まで故郷と共に生きるために
● 山間地域では都市部よりも早いスピードで高齢化が進み、若年者流出による人口減少も同時に進行しており、それは被介護者が増える一方で、介護者が減少していくことを意味している。
● 限られた在宅療養資源の中で、中山間地域の医療や在宅療養環境を守るには高齢者が身体的にも経済的にも総合して自立できる環境を守り、地域力としての介護力を高める必要があると考えられる。
阿部智介
中山間地域における在宅歯科と療育歯科
● 歯科医院に通院できない人々の口腔環境は悲惨な状態である。これを改善すべく、在宅療養支援歯科診療所として、在宅、病院、介護施設、障害児・者施設、地域において実践している訪問歯科診療と口腔機能に対するアプローチを紹介する。
● 療育歯科として、障害児に歯科医療が早い段階で関わり寄り添うことで、その後の成長が変わり、子どもたちの未来に決定的な影響を与える。
● 「生きているのが辛い、早く死にたい」との訴えに、医療従事者である前に1 人の人間として、患者の痛みに一緒に寄り添い、関わることの大切さを感じている。
我那覇生純
論考
医療被ばく低減化を本格的に取り組もう
◆ 3・11 福島原発事故があぶりだした医療被ばく大国日本。放医研「早見図」と医療被ばく・低線量被ばく安全論。世界一の医療被ばく大国日本、われわれ医師たちが無意識に加担。日本の医療被ばく世界一第2の原因、胃X線検査。医療被ばく大国日本の汚名返上に、抜本的・本格的に取り組もう。
大場敏明
文化
映画の中の「歯」にまつわる話 (上)
 映画を鑑賞する場合、ストーリーや出演者に興味をもつのが一般的であるが、これに加えて演出、脚本、撮影、美術、音楽等にも関心を深めるとさらに楽しくなる。
 私は歯科医師になってから、映画の中で歯に関するシーンに出会うと、なんとなく気になって、それを記録するような習慣が身についた。そこで、過去の名作あるいは話題となった作品から、「歯」にまつわるお話を取り上げてみようと思う。年代順に、そして作品ごとに紹介してみよう。
中井 護
レポート
NPT 再検討会議視察報告
「核兵器の非人道性」議論高まる
 〜概観と2015 年会議の特徴〜
■ 核不拡散条約(NPT)再検討会議が2015 年4 月27 日から約1 カ月に渡り、米国・ニューヨークの国連本部で行われた。保団連は前回(2010 年)に続いて、永瀬勉・非核平和部長ら3人を派遣し、日本を始め各国から集まった人々とともに核兵器廃絶を訴えた。
■ 本号では、会議の概観と、マンハッタンで行った集会やパレード等の様子を報告。次号はネバダ州の核実験場視察について報告する。
丸山七菜子
パレードや署名活動で核廃絶訴え
 〜ニューヨーク行動〜
中川武夫
診療研究
小児歯科医療の勘どころ
─みんなで考えよう子どもたちの口の健康─
第3回 子どもの泣きと対応
●前回に引き続き、患児や保護者への対応について述べるが、今回は子どもの泣きの考え方や具体的な対応、抑制具の使い方、考え方について述べる。
丸山進一郎
シリーズ
経営・税務誌上相談 419
電子カルテソフトの導入
益子良一
雇用問題Q&A 163
働く女性の能力を生かすには夫の労働時間短縮が必要
曽我 浩
会員
書評
『涙のあとは乾く I AM CATHERINE JANE』
仲里尚實
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉 大西俊和
文化・交流 各地の文化活動 ─16─
山歩きや作品展、お酒を楽しむ企画も
富山県保険医協会
VOICE
― 5月号を読んで―
編集後記・次号のご案内