2015・No.1198
月刊保団連 10
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「道」
「マイナンバー」で超管理・監視国家に
〜医療分野をはじめ急速に進む利用拡大〜
白石 孝
特集
認知症の医療・ケア・サポート
認知症高齢者にやさしい地域づくりへの視座
 ─「新オレンジプラン」と地域包括ケアのあり方

●本稿では、2015年1月に政府から公表された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中で示された「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」についての中身をまず紹介し、次に認知症高齢者問題を考える論点を整理したい。
●具体的には、(1)世帯構成とその経済状況、(2)親族ネットワーク、(3)地域包括ケアと住民活動の方向性という3つの側面から、認知症高齢者問題の視座を提起したい。

河合克義
認知症の人を一般外来で診る
●認知症患者は高齢社会の進行とともに増加の一途をたどっており、一般外来でも避けて通れない状況が生まれている。
●一般外来が認知症診療に果たす役割は、(1)診断(2)内服薬処方を中心とする疾患管理(3)身体合併症への対応(4)進行予防やBPSD 緩和のための生活支援(5)介護保険かかりつけ意見書や成年後見制度などの社会的アプローチと多岐にわたる。
●パーソンセンタードケアの「その人らしさを理解し、その人らしさを尊重したケア」に理解を示すことが求められる。
●認知症を広く社会の中でとらえ、どう対応し、支えていくのか考えていく必要がある。
宮澤由美
超高齢社会における認知症の人への歯科的対応について
●超高齢社会の中、認知症患者が急増している。その対策として国は2015 年1月に「新オレンジプラン」を策定した。しかしその中には認知症患者への歯科的な対応は十分に記載されていない。
●認知症高齢者にとって食べることは大変重要であり、そのためには歯科的な対応が必要である。具体的には口腔機能を維持向上させるための歯科治療と口腔ケアと食支援である。
● 本稿ではこれらの視点に立って認知症の人への歯科的対応を報告する。
奥山秀樹
認知症患者の口腔機能管理のあり方
●新オレンジプランで歯科医師は、認知症を早期発見し、関連機関と連携して口腔機能の維持管理を行い、地域での生活参加を支援するスキルの習得が求められた。
●誤嚥性肺炎での口腔清掃により入院を回避し、歯科治療の概念と異なる口腔生理学に基づいた口腔機能療法のスキルの習得が必要であり、外部養成機関の支援を受けることも一案である。
舘村 卓
認知症の人と家族の思い
●認知症の人と家族の現状と課題は、ますます増加する認知症の人や介護家族への支援が後退していることにある。公的介護保険15年の歴史は、後退に次ぐ後退の中で、いまや「高齢者の尊厳」「公的」の部分が消されつつある。
●2025年には認知症の人は730万人といわれている。家族の会の結成35年、この間一貫して、認知症があっても「安心して暮らせる」「一人の人間として生きられる」社会の実現のために励んでいる。そのためには、医療と介護が本来の意味での一体となり提供されることが必要である。
勝田登志子
認知症の人が安心して外出できるまちづくり
 ─全国のモデルになった福岡「大牟田市方式」
●福岡県大牟田は旧産炭地であり、高齢者問題では他の10年先を行く地方都市。2002年度から、全世帯の実態調査をもとに、地域全体で認知症の理解が広まり、安心して暮らせるまちをつくろうと、行政と介護事業所が協働で地域認知症ケアコミュニティ推進事業に取り組んでいる。
●その中から、認知症の行方不明の高齢者を地域で見守るSOSネットワークの模擬訓練の取り組みや、小中学校の認知症啓発のための絵本教室、もの忘れ検診等の活動を紹介する。
大谷るみ子
診療研究
一般外来に必要な精神医学(下)
●本格的な内因性うつ病は、ことのほか診断と治療に難航する場合が少なくない。その主な理由は精神症状より身体症状が主訴となる場合が多いことと、病者自身の病識欠如である。
●今回は、一般外来で遭遇する内因性うつ病の身体症状に焦点を絞り、精神科診療の立場から、その診断と治療について日頃自ら心がけている事柄を述べ、「仮面うつ病」の概念と、うつ病の身体症状としての疼痛について言及した。
郭 哲次
小児歯科医療の勘どころ
─みんなで考えよう子どもたちの口の健康─
第6回 咬合誘導の実際
●今回は、咬合誘導の実際について述べる。教科書的に言うと小児歯科は全て咬合誘導である。むし歯の予防に始まり、むし歯の治療、保存、補綴、外科的処置、外傷に対する対応等々であるが、今回の咬合誘導は、やや積極的に歯の移動等を行い、将来の永久歯の咬合を完成させる方法について、診断並びに装置の選択など、筆者が行っていることを中心に述べる。
丸山進一郎
文化
音に道をたずねながら歩く
第2回 黒い声 奄美の竪琴ブルースマン
■音の旅を続けよう。「音を録る」。この「一瞬の空気を缶詰にする」技術は20世紀に入るとポータブルな円盤式が開発され、一気に音楽の世界を塗り替えてしまう。それまで音を記録する方法は楽譜しかなかった。つまり複雑な語彙や文法を操って記されたもの。それはマックス・ウエーバーが言ったように、カトリック教徒の修道院で練り上げられた「ヨーロッパ語」だったのである。この読み書き能力を身につけた人々によって奏でら、ホールやサロンで聴く。これこそが大文字の「音楽」だ。そこに路傍の呼び声が、酒場の囁ささやきが、裏町の嘆き節がなだれ込んできた。20世紀半ばに世界中で起きた事である。
平井 玄
シリーズ
経営・税務誌上相談 422
マイナンバー制度(医療機関の対応)
益子良一
雇用問題Q&A 166
傘さし自転車運転で通勤中に事故。労災保険の給付は?
曽我 浩
会員
書評
 『基礎から学ぶ国保』
山田美香
文化・交流 各地の文化活動 ─18─
 入手困難!「金毘羅歌舞伎」ツアー
 今後も協会独自企画を目指す
高知保険医協会  伊藤 高
本棚
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉 大西俊和
VOICE
― 8月号を読んで―
編集後記・次号のご案内