2015・No.1199
月刊保団連 11
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「道」
自治・平和・環境
─安保法制阻止は辺野古基地反対から
宮本憲一
特集
Topics 〜現代の感染症〜
現代社会における新たな感染症への警戒と地域の役割
 ─新興・再興感染症の動向と対策

●かなりの感染症は激減し、死に至るものも少なくなったが、一方では新たな感染症あるいはコントロールされたかのように見えた感染症の復活・拡大などが大きな問題となってきている。
●死に至る流行病が遠ざかったことは大いに喜ばしいことであるが、「安心すること=油断すること」ではない。これまでのような「発生に対しての対応」ではなく、これからは「発生に対する備えと早期検知」がさらに求められる。そのためには診療現場と地域における保健衛生行政機関、地方衛生研究所などとの連携がさらに重要になる。

岡部信彦
大規模災害と感染症対策
 〜生存者の健康をいかにして守るか
●災害時の感染症まん延は避難者の脅威である。発災直後から火種は存在するため、早期に調査活動が開始されねばならない。集団避難生活は感染症リスクを高めるので、一時避難所開設段階から医療機関レベルの感染対策を織り込む必要がある。手洗い資材や防護具配布、トイレ管理、看護や介護、食事や入浴時の衛生、発症者(感染源)対策、さらに予防接種や予防投薬などを計画的に実施する必要があり、行政組織と感染管理専門家の円滑な連携と一般市民への啓発が急務である。
櫻井 滋
HIV/AIDS の感染拡大が続く日本
 予防、治療、支援、理解の全てが重要
●1981年にHIV感染者が公式に発見され、今も世界で年間200万人が新たに感染するHIV/AIDS。国内では2014年のHIV 感染者・AIDS 患者の新規報告者数は合計1546件と高止まりの状況が続く。東京・大阪・名古屋の三大都市が多いが九州でも2年連続で増加。男性同性間が過半数を占め、感染に気付かないまま過ごしAIDSの状態となって確定診断を受ける「いきなりAIDS」が新規報告者数の3割にもなる。未成年の覚せい剤等の回し打ちの報告もあり、依然予断を許さない状況だ。
杉山正隆
古くて新しい 母子感染症の予防と対策
●代表的な胎内感染症というと、先天性トキソプラズマ症、先天梅毒、先天性風疹症候群、先天性サイトメガロウイルス感染症などが挙がります。「学生の時習ったよな?。でも稀な病気だし、開業医にはあまり関係なさそう」なんて思っていませんか?そんなあなたにこの記事は必読です。
森内浩幸
動物由来感染症
 ペットは家族─でもご注意を
●ヒトの感染症病原体の60%以上が動物由来である。
●感染症法に指定されていない愛玩動物由来感染症も、実は患者が多く重要である。
●動物から人への病原体の伝播はその距離が近いほど容易になる。したがって特に関係が親密な犬・猫も実は感染症のリスクを伴う動物である。
●犬・猫咬掻傷由来感染症であるカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は、敗血症・DIC をもたらし死亡率が高いにもかかわらず、患者実態がまだまだ不明である。
●今後、患者に対して、動物の飼育歴、種類、咬掻傷を含む接触歴を基本的な問診項目の一つとすることも必要になる。
今岡浩一
論考
累犯障害者をどう支える
 ─ 制度発足から6年、見えてきた課題とは
◆罪を繰り返し社会と刑務所を行き来する累犯障害者・高齢者について、刑事司法と福祉の連携で、福祉施設へ橋渡しする地域生活定着支援センターが多くの人たちを福祉につないだ。
◆捜査段階や裁判段階での釈放を目指す入り口支援は、福祉施設の多くが罪を犯した人の受け入れに消極的であるため、これ以上支援する数を増やしていくと制度自体が破綻を来す可能性がある。
◆福祉施設に暮らす障害者・高齢者の再犯しない割合が9割に上り、出口支援に一定の効果が見られた。
佐藤 一
診療研究
<新シリーズ>心電図の生き字引 診断の実際(1)
 〜心電図自動診断を日常診療にどう生かすか〜
●本稿のテーマは一般的には馴染みがないと思われます。循環器専門医である著者(関口)は、半世紀以上心電図診断につき資料を集め研究してきました。日本には検診心電図の読み方を記載した良書がありません。関口は検診心電図を読む上で、また日々診療をしていく中で教科書に記載されていない重要点、着眼点を発見してきました。こうした臨床上のポイントを一つずつ取り上げようと思います。今号から筆者の弟子らが「シリーズ 心電図の生き字引」の題の下に解説します。さらっと読んで頂きたく思います。
●連載各号では、@テーマ名A症例の病歴と検診の心電図提示、年齢、性別、身長、体重と前年度の心電図B心電図の読み方の解説C参考文献の順で取り上げます。引用文献は、検診心電図に関する内外の論文や教科書から用いることにしました。数ある文献の中でも検診心電図について信頼できる文献は非常に少ないと思われます。国内では森博愛先生のものと、海外ではChowのものくらいしか見当たりません。最近のChowの論文を大改訂した成書には、もはやChow先生の個性的かつ納得できる記述が無くなってしまっていて残念です。
三原純司・関口守衛・竹内志保理
歯科金属アレルギーの診断と治療
第1回 臨床像の分析
●1928年にFleischmann は、アマルガム中の水銀により口内炎と肛門周囲炎の症例を世界で初めて報告した。本邦では1972年中山らによる、アマルガム中の水銀による口腔扁平苔癬の症例が最初である。その後も、各国で種々の歯科金属アレルギーの症例が報告されてきた。
しかし、未だに治療方法に関して整備されたガイドラインはなく、治療現場ではさまざまな方法が提示されており、その中にはエビデンスに乏しく不適切なものも少なくない。
今回、歯科金属アレルギー治療について改めて考えてみたい。
高 永和
小児歯科医療の勘どころ
─みんなで考えよう子どもたちの口の健康─
第7回(最終回) 専門医に紹介した方がよいケース
●今回で最終回になる。最後として、一般開業医の診療所で手に負えず、小児患者および保護者のためを考え、専門医へ転医紹介する場合のターニングポイントを小児歯科専門医の立場から述べてみる。そして、読者自院のシステム見直しの一助になれば幸甚である。
丸山進一郎
文化
音に道をたずねながら歩く
第3回(最終回) ちあきなおみ─私の東京情歌
■20世紀を通じて録音技術は精密になっていった。ところが、その頂点で明らかに音楽は衰えを見せる。この国でも各種ソフトの売り上げは1998年をピークに下降しはじめ、現在は半分以下である。しかし「音をめぐる問い」はそこにはない。なによりも音楽の基にある「歌」が衰弱したことだ。魂に触れる声こそ人々の命を革あらためる道に繋がる——という妄執に近い思いを私は抱いてきた。『怒りの葡萄』のアメリカ中西部からビートニクの大都会に流れ着いたオーネット・コールマン。南島の地面を這うように歌った里国隆の異声に引き寄せられた理由である。そして我が「愛と憎しみの街」東京に戻ってきたのである。
平井 玄
シリーズ
経営・税務誌上相談 423
贈与税の配偶者控除
益子良一
雇用問題Q&A 167
マイナンバーの通知カード(経営者の対応)
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉 大西俊和
文化・交流 各地の文化活動 ─19─
天体観測と超新星発見の魅力
山形県保険医協会
VOICE
―9月号を読んで―
編集後記・次号のご案内