2016・No.1216
月刊保団連 4
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「道」
大学は「異端の知性」の在り処たりうるか
吉田真史
特集
所得再分配が当たり前の社会に
社会保障のためなら消費税増税もやむを得ないのか?
 ─税と社会保障による所得再分配機能の再構築に向けて

●社会保障の安定・充実のためとされた消費税の増税だが、実は法人税減税の穴埋めにしかなっておらず、安倍政権のもとでは、社会保障の充実どころか削減が進められている。
●この間の社会保障削減により、社会保障による所得再分配が機能不全に陥っており、所得再分配機能の再構築が必要となる。
●多くの国民が思い込まされている社会保障財源=消費税という呪縛を解き放ち、消費税に依存しない再構築に向けた対案を提示する。

伊藤周平
大企業の社会的責任をあらためて考える
 ─高収益と増える内部留保の現状から

●大企業の内部留保は、300兆円を超えたといわれているが、これは海外事業が好調で海外売上高が増大していること、また円安による増益そして従業員への人件費の削減などによって巨額の内部留保が急増している。
●こうした大企業に蓄積された巨額の内部留保の使途は、設備投資へ投入されずに、金融資産(投資有価証券や子会社株式そして短期的有価証券など)の取得に使われている。設備投資は減価償却費の範囲内でほぼ行われている。
●実効税負担率では大企業に対する優遇税制などにより低くなっている。さらに法人税減税を行い、消費税増税を実施している。大企業の優遇税制をやめ、過大な内部留保は所得再分配機能により国民に還元する。
●大企業は社会的存在として社会的責任を持つことから、社会保障改善のための財源の在り方を検討する。

谷江武士
日本における貧困の広がりと所得再分配機能の衰退
●現在、勤労者世帯のなかの最も所得の低い10%の世帯(世帯主の平均年齢47.6歳、平均世帯員数3.05人)の平均年収は278万円である。実質的生活保護基準を求めると279万円になるので、この10%の勤労者世帯(364万世帯)は貧困ということになる。
●非正規雇用労働者を中心とした低賃金がその原因である。
●同時に、消費税率の8%への引上げが勤労者世帯に重い負担として伸し掛かっている。
唐鎌直義
医療再建で国民は幸せに、経済も元気に
 ─医療への公的支出を増やす保団連の3つの提案─
●政府は「財政危機」を口実に、診療報酬を含む医療、社会保障への支出を大幅に切り捨てる方針だ。
●だが、本当に財源はないのか。消費税増税以外に医療や社会保障財源を確保する方途はないのか。
●保団連の提言「医療再建で国民は幸せに、経済も元気に―医療への公的支出を増やす3つの提案」は、大企業に社会的責任を果たさせ、大資産家に公平な税負担を求めることで、消費税に頼らずに社会保障の安定財源を得ることができるとしている。
保団連政策部
戦争と、命と─
国境なき医師団日本会長・加藤寛幸さん
 中東で相次ぐ医療施設への爆撃
  国際人道法違反、独立した調査を
診療研究
歯科金属アレルギーの診断と治療(回答編)
─医科歯科連携を念頭において
2015年11月号から4回に渡る連載後、医科および歯科の読者から、たくさんのご意見・ご質問をいただいたので、回答編をまとめました。読者に興味を持っていただいたことを嬉しく思います。質問の内容は次の通りです。回答は本文中に赤字で示しました。これにより、理解が一層深まれば幸いです。
高 永和
シリーズ 心電図の生き字引
  ─心電図自動診断を日常臨床にどう生かすか─
  診断の実際─6─
三原純司・関口守衛
文化
バイオミミクリーの世界─驚きの小さい生物の超技術─
第3回 乗り物
今泉忠明
ドクターのつぶやき川柳 年間大賞
〈選者〉 大西俊和
シリーズ
経営・税務誌上相談 428
医療機関の消費税損税問題
益子良一
雇用問題Q&A 172
労災保険未加入中に業務災害
曽我 浩
会員
書評
『内部留保の研究』
平田米里
文化・交流 各地の文化活動 ─23─
「文化ハイキング」で地元の魅力を再認識
京都府保険医協会文化部
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉 大西俊和
VOICE
─2月号を読んで─
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内