●かつて「う蝕(むし歯)の洪水」といわれた日本の歯科疾病構造は、口腔衛生の向上と高齢化により大きく変貌している。急性期疾患である小児や若年者のう蝕は大幅に減少し、代わって高齢者の歯科慢性疾患が台頭してきている。また要介護・要支援者の増加とともに歯科診療所への通院困難な人が増え続けている。な人が増え続けている。
●しかしながら日本の歯科臨床の屋台骨である町の歯科診療所は診察室完結型の外来診療が大半を占めており、歯科医療に対する社会的期待を十分に満たせなくなっている。これからの歯科医療には在宅歯科診療を含めた歯科慢性疾患の管理と歯科的老年症候群への対応が急務となっている。
●疾病構造の変化と共に超高齢化社会となった現在、求められる医療も変わりつつある。健康寿命を延ばす予防医療や介護予防が重視されてきている。
●歯科医療の専門分野である口腔機能の回復や誤嚥性肺炎の予防は、健康寿命を延ばす医療であり、歯科在宅医療は要介護高齢者が在宅で安らかに療養するために必要不可欠な医療である。
●高齢者の「食べる楽しみ」を支えるための多職種の連携、協働が早期に構築されることを望む。
●「かかりつけ歯科医療機能強化型歯科診療所(か強診)」は、「地域包括ケア」という在宅完結型医療への誘導策と言える。「か強診」は診療所間の格差を生み、さらに患者の選別につながる恐れがある。
●医療行為に関係のない施設基準の有無によって、同じ医療行為の評価が異なる「一物二価」の設定は、過去にも「歯周病T、U型」と「かかりつけ歯科初診療(か初診)」が導入されたが、いずれも現場から大きな不満の声が上がり、廃止となった。
●格差が広がる中、貧困があらゆる世代に襲いかかってきている。「貧困は自己責任」と個人の問題に矮小化されてきたが、実際には社会の在り方に問題がある。
●保団連の調査では回答した歯科医師の約半数が、経済的理由での治療中断を経験していた。大阪では45%の学校で口腔崩壊の子どもがおり、小学生の要受診者の半数が未受診という。経済格差や家庭事情が子どもの健康格差を招いている。
●歯科診療報酬における口腔機能の評価は、2012年改定に向けての中医協資料である歯科治療需要の将来予想図、「歯の形態の回復」から「口腔機能の回復」に端を発する。
●その後の改定においては、周術期口腔機能管理、歯科口腔リハビリテーション料、舌圧検査等が財源の範囲内で段階的に導入された。これらの動向を踏まえ、2016年には、日本老年歯科医学会が口腔機能に関する7項目の見解論文を公表した。今後、地域包括ケアや医科歯科連携の推進には、他の職種が容易に理解できる口腔機能の評価指標が必要である。
●歯科衛生士の需給が急激に逼迫してきている。一方歯科技工士は安い技工料に伴う低報酬や労働環境の劣悪さ、高い離職率・後継者不足など多くの問題を抱えている。全く対照的な現象のように見えてその底流には新しい時代に対応しきれていない歯科医療の諸問題が隠されている。
●青森県保険医協会ではこれまで地元の歯科衛生士、歯科技工士と互いに認識を深めつつ信頼関係を作ってきた。しっかりとした歯科医療チームの構築に向けた提案を示す。
●2018年度歯科診療報酬改定に向けて、歯科医療崩壊をくい止め歯科医療の質の確保と安全を保障できるよう、保団連や各協会・医会で「改善要求」の討議を重ねている。
●技術料の適正評価、歯科の包括全般の問題、改定ごとに増加する施設基準や「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」の問題、新規の保険導入など、次期改定に向けて取り組むべき課題と、その背景、議論の経過について報告する。
■米国の音楽と社会運動の関係は19世紀半ばにまでさかのぼり、その時代にも奴隷制廃止や女性や労働者の権利主張などを訴えるのに音楽の力が助けとなったという。そして20世紀に入ってラジオやレコードといったマスメディアが登場すると、音楽の影響力はさらに増し、30年代にフォークの元祖となったウディ・ガスリーやピート・シーガーらが組合の結成や反ファシズムなどの運動に積極的に貢献し、第二次大戦後は公民権やベトナム反戦などの運動でフォークやロックが重要な役割を果たしたのはご存じの通りだ。
■だが、大統領選挙において、ミュージシャンが真剣に運動に関わりだしたのは、実のところ比較的最近のことである。今回はミュージシャンが大統領選挙に今のように深い関わりを持つようになった経緯を探ってみよう。