2017・No.1245
月刊保団連 8
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「道」
ユダヤ人救済にかかわった音楽家の謎を追って
菅野冬樹
特集
“美しい国”の行方
ある医学生の青春
 〜加藤周一が見た戦争への時代

戦後日本を代表する知識人の一人、加藤周一氏が青年時代に書いた大学ノートが没後に公開された。そこから、加藤氏が生涯にわたって追求した思想の原点が浮かび上がる。戦争に傾斜していく世の中を見つめながら、加藤氏が抱いた思いとは─。

渡辺 考
混迷する世界の中で日本の安全保障を考える

●日本人の多くは、戦争の危険を感じている。戦争は、国の意志によって引きおこされる。すべての危険に対応できるほど無限の国力があるわけではない日本が考えるべきことは、力によって戦争を防ぐことよりも、戦争の原因となる対立の構造を把握し、それを和解によって解消する真の平和戦略だ。

柳澤協二
「死の商人」への道
 ─武器輸出・軍事研究とアベノミクスの隘路

●日本は2010 年代に入って急変しつつある。その中で、武器輸出三原則の放棄と防衛装備庁設置、さらに大学を軍事研究に追いやる危険性は広く知られていない。そうした政治・経済・社会・教育の軍事化がなぜ、いま進んでいるのかを、アベノミクスの破綻の原因とともに明らかにしてみよう。また、軍事力と軍事同盟に頼らない、真の安全保障の途がどこにあるのか探ることにしよう。

小野塚知二
日本の独自性を生かした国際貢献とは

●世界で頻発する紛争、「テロ」、「対テロ戦争」は今後ますます頻繁に起こる。その背景には資源が枯する中で、ますます資源の争奪競争が激化しているという現実がある。世界中で土地収奪が起こり、市民活動家が殺害されているのも紛争のひとつの形である。米国と共同歩調で自衛隊の世界展開を進めようとする政府の政策の背景には、資源と市場を守るという経済的な理由がある。テロへの対応を名目に軍事化を進めることは、市民社会スペースが制限されることを意味する。南スーダンやアフガニスタンを切り口に、安倍政権の「積極的平和主義」とは違う本来の平和主義の道筋を提示する。

谷山博史
核兵器をめぐる世界情勢と日本
 ─核兵器禁止条約と核の近代化

 

吉田文彦
論考
英国における高額薬剤の保険償還
 ─オプジーボを例として─

 

小薮幹夫
診療研究
わが町における長崎のおくんち関連外傷の取り組み(下)
●わが町の奉納踊りである曳ひきだんじり壇尻において経験した外傷に関連して、1988年〜 2016年までの全国のだんじり起因死亡事故を調査した。筆者が確認した死亡事故総数は28人で、曳き手の死亡事故が17人(60.7%)であった。過去の死亡事故の教訓からも、導入期以前からの十分な身体管理、日常的な安全教育、および負傷実態の経年的継承の必要があると考えられる。
冨田伸次郎
顎骨壊死はなぜ起こる?(1)
●ビスフォスフォネート(BP)製剤服用者に顎骨壊死が生じることが報告されたのは14年前であり、ようやく診断基準の確立や病態認識の普及によりその実態が把握されてきた。
●BP 製剤だけでなく他の骨吸収抑制薬剤でも顎骨壊死を生じることがわかり、その発症メカニズムはまだ完全には解明されていない。
●生理的な骨改造が必要な状態に対して破骨細胞の活性を薬剤で抑えることが、顎骨壊死の誘因になっていることが考えられる。
後藤哲哉
シリーズ 心電図の生き字引
 診断の実際─21─
三原純司・関口守衛
文化
動物たちはすごい!
第1回 陸の動物はすごい

■生物は海で誕生し、その後上陸した。上陸には解決すべきことが多々あった。@乾燥の問題。体表を毛などで覆い乾燥を防いだ。体内受精や胎生により、乾燥しやすい小さな時期に、外気にふれないようにした。A水中と異なり重力が直接かかるため、骨格系を発達させた。B陸上の食物は消化しにくいため、咀嚼器や腸を発達させた。
■「陸の暮らしは大変なのであり、こうして存在していることだけでも、すごいことなのだ」という自覚は、精神の健康のためにも、もった方が良い。

本川達雄
シリーズ
雇用問題Q&A 188
パート職員から「有休をとってから辞めたい」と言われた
曽我 浩
経営・税務誌上相談 444
医療法人の消費税申告時期/6月号掲載分の加筆・訂正
益子良一
会員
書評
笠原 浩著『歯科治療読本─保険で良質の歯科治療を受けるために─』
山口県保険医協会 緒方一昌
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉 植竹団扇
VOICE
―6月号を読んで―
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内