●団塊の世代全てが後期高齢者となる2025年以降、社会保障給付費が激増すると言われている。政府は、社会保障給付費、特に医療・介護給付の自然増を抑制することを目的に「入院・入所から在宅」へのシフトを急いでいる。その在宅の受け皿が「地域共生社会」の構築であるが、同時にそれは国民を政府の監視下に置く装置として機能する可能性もある。この監視国家は、戦争国家への序章かもしれない─。
●2018年度歯科診療報酬改定の外来の関するところを中心に述べる。@院内感染防止対策として、歯科初再診料に施設基準として評価された。A医学管理では、歯科疾患管理料の加算として「総合医療管理加算」「小児口腔機能管理加算」「口腔機能管理加算」が新設。医科歯科連携として「歯科治療時医療管理料」「診療情報連携共有料」が新設された。B周術期の口腔機能管理を行う目的が示され、対象となる手術が拡大された。C先進医療から導入されたCAD/CAM(コンピューター支援設計・製造ユニット)装置を用いて作成された歯冠補綴物の適用拡大(2017年12月より)や、高強度硬質レジンブリッジの新規導入によりさらなるメタルフリー化に向かっている。
●今次改定の要点である「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」では、@かかりつけ歯科医の機能の評価、A周術期口腔機能管理の推進、B質の高い在宅医療の確保が位置付けられた。本稿では、「在宅歯科医療」を取り上げ、評価のできる項目は何か、施設基準によってどのような差別化が持ち込まれたのかを考え、改善に向けて提起をしたい。
●介護報酬は0.54%引き上げられたが、制度発足以後の改定率の積算では0.46%のマイナスである。
●改定では、居宅療養管理指導の算定方法の変更、訪問看護や訪問リハ、通所リハ等の基本報酬引き下げ、認知症高齢者等の割合を満たせない介護療養病床・介護医療院の大幅減額、訪問介護員の研修時間の半減等が行われた。
●必要なサービスを提供するためには、@国庫負担を拡大し介護保障を充実、A公費負担の活用と改善、B医療系サービスを医療の必要に応じて提供できるようにすることが必要である。
●2018年度の医療・介護報酬同時改定は、7:1一般・急性期病棟においては、医療・看護が引き続き必要な患者に対し「回復期リハ病棟」「地域包括ケア病棟」から介護医療院という流れをつくり、他方で回復の見込める患者を介護老人保健施設、そして在宅という流れをつくる。どちらにしても、どのような身体状況であっても在宅に戻し、介護保険法によって対応するという形ができつつある。また、医療・介護の事業所は事業内容によって報酬単価が決められるため、行政によって事業方針が操作されている。