●2008年6月、日本医師会内に「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」を設置していただき、病院勤務医のストレス状況を把握するための調査を実施した。その結果、12人に1人が抑うつ状態であり、50人に1人は中等度以上のうつ病と考えられた。
●これらの結果を受けて、日本医師会その他の団体はさまざまな対応をしたが、 2015年にも同じアンケート調査をしたところ、ほとんどの健康にかかる項目で改善がみられたが、引き続きの勤務環境改善が望まれる。
●感情のコントロールが不可欠な職業を感情労働と呼ぶが、現代においては医師の仕事も感情労働に相当する。医療現場で発生する陰性感情は、「あってはならないもの」として規制されるため、表出されることなく隠滅されてしまう。感情管理が徹底して、常に「偽りの自分」を演じ続けていると、「本当の自分」の感情がわからなくなり、バーンアウトやメンタル不調が発生する。それを避けるには、自己洞察(self-awareness)により、自分の心と向き合い、医師特有の認知の歪みに気づき、他人からの否定的なジャッジメントを手放す心の姿勢が大切である。
・高齢者では薬物動態や薬物反応性が一般成人とは異なり、また複数の併存疾患を治療するために処方された薬剤同士で薬物相互作用が起こりやすいため、薬物有害事象が問題となりやすい。
・ポリファーマシーは多剤併用が問題というよりは、むしろ不適切処方を含むことが問題であり、それを検出するための様々なツールが国内外で利用されている。
・高齢者におけるポリファーマシーの解消や薬物有害事象の最小化のためには、各医療従事者が正しい知識を身に付けた上で積極的な連携を図ることが重要である。
2018年の診療報酬改定において、気管内挿管時の歯の損傷を防止するための「口腔内装置」が新たに収載された。しかしこの装置を作製して使用するには歯科領域と麻酔領域の知識および連携を必要とする。そこでそれぞれの診療科の視点からこの装置の有効性を解説し、作成方法を示す。
さらに特殊な配慮を要する障害者に適用する場合の当院独自の工夫を提示する。この装置を手掛けることは、周術期管理をより充実させ、医科歯科連携をさらに良好にするものと考える。
・大航海時代の西欧では壊血病で死ぬ船員や水兵が続出していた。
・1753年、英国海軍のリンド軍医は新鮮な野菜や果物に「抗壊血病因子」が存在することを発見した。水兵たちはライムの生果汁で壊血病から免れることができるようになったが、一般人への予防対策は遅れた。
・この「抗壊血病因子」は1920年にドラモントによって「ビタミンC 」と命名された。
その後に抽出・結晶化や化学構造の解明がなされ、アスコルビン酸として化学合成にも成功した。