●近年、「格差社会」は現代日本を語る上で欠かせない言葉として定着しているが、実は1980年代から格差の拡大は始まっていた。この40年ほどの間に日本社会は大きく変貌しており、もはや、格差という言葉だけでは捉えきれない状況になりつつある。本稿では「階級社会」をキーワードに働く人々を階級ごとに分類し、従来の階級に当てはまらない新たな階級「アンダークラス」が形成されていることを確認するとともに、このままこの階級の拡大を放置することの危険性を述べたい。
●4月から「働き方改革関連法」が施行されるが、これらは労働者の置かれた状況に大きな変化をもたらさないだろう。それどころか、一部ではより長時間労働を蔓延させ、労働者の健康に危険を及ぼす恐れさえある。現在の労働問題を改善するためには、労働市場を規制する力を持った労働運動が誕生し、労使関係を変えていかなければならない。本稿では、労働問題の実態から同法の問題点を指摘するとともに、新たな労働運動のあり方や可能性について検討していきたい。
●筆者はホームレスの支援を行っていく中で、路上生活を脱出した後も社会的孤立の問題が残ることに気がついた。従来の自立支援は、住宅や就労を確保する「お金」の困窮を解決することばかりに重点が置かれ、「縁」の困窮に対する視点が疎かになっていたのではないだろうか。現在、人々の孤立化が進む時代にあって、改めて「自立」の意味を捉えなおし、従来の問題解決型の支援から、「つながり」に重点を置く伴走型支援に転換する必要がある。
・近年コンタクトレンズ、特にカラーコンタクトレンズによる眼障害が多発している。原因としてカラーレンズが粗悪であるという事実があるが、それ以上に入手方法に問題がある。厚労省はレンズ購入時、眼科を受診するよう勧奨してきたが義務化されていないため、誰でも容易にインターネットや雑貨店で購入することができ、そのため眼障害が多発している。医師の処方せんがなくても購入できる現状を改め、眼科医の介在しない販売に対して罰則付きの法律を定める必要があると考える。
“おいしく味わって食べる”ことは人生の大きな喜びであり、そのためには丈夫な歯と顎、そして健全な味覚と唾液が重要である。わが国では、味覚障害者が確実に増加し、その原因のひとつとして唾液分泌の低下(ドライマウス)が知られるようになった。一方、味覚障害およびドライマウスに対する診断と治療は、医科・歯科を問わず十分に普及している現状にはない。本稿では、うま味を用いて味覚障害およびドライマウスを改善する方法について解説する。
・ビタミンAは、それが欠乏すると成長停止や夜盲症などの目の機能障害が生じることから、5大栄養素以外の必須微量栄養素として最初に発見された。
・当初は「油溶性A」として単一の物質と考えられていたが、「抗夜盲症因子」以外にも「抗くる病因子」が存在することが明らかにされ、後者はビタミンDと命名された。こうした脂溶性ビタミンについては、現代ではむしろ過剰症が懸念されている。