一刻の猶予もない国民生活
地域医療を守るため一体となった運動を
住江憲勇
分かっちゃいるけど、やめられない…
食と行動の科学
●身体に良くないと理屈では分かっていても、ついつい、食べ過ぎや運動不足から抜けられないのはなぜでしょうか。私たちは生活習慣病の発症基盤にある“脳機能の異常”に注目し、脳科学と分子栄養学を用いて質の高い健康長寿社会の実現を目指す研究に取り組んでいます。
●動物性脂肪の摂り過ぎは脳をハッキングし、身体が必要とするエネルギー量や栄養成分を判断できない脳に変えてしまい、さらには身体を動かす気持ちが顕著に失せてしまいます。運動量が減り、食べ過ぎが重なるわけですから、ますます太りやすくなってしまいます。
●本稿では“健康を損なう食べ癖”に関する最近の脳科学の進歩を踏まえ、“医者の不養生”の最新事情を読み解いてみたいと思います。
益崎裕章
食生活が乱れるとどうなる?
─時間栄養学のススメ─
●規則正しい食生活は、健康の要である。しかし現代では、インターネット、スマホ、24時間眠らない経済活動などによって生活が不規則になりがちである。また、職業柄不規則な生活をせざるを得ない人たちも多い。不規則な食生活をする人に、メタボリックシンドロームや生活習慣病、がんになる人が多い。これは体内時計の影響が大きく、この体内時計を正常化させるのが食事のタイミングであることが最近明らかにされてきた。この食事のタイミングを研究するのが、「時間栄養学」である。朝食を食べて夜食を食べない、昼夜メリハリのある生活、そしてできるだけ決まった時間に食べるだけで健康体質を作ることができる予防医療の一分野を紹介する。
小田裕昭
これならできる!
多忙な医師・歯科医師への運動アドバイス
●現代人は「運動不足」である。科学技術の進歩や生活様式の変化に伴い活動量や運動習慣は低下している。本稿では、多忙な医師・歯科医師でも実践可能な「有酸素運動」「レジスタンス運動」「日常生活動作」を提案したい。
舘 友基
健康運動、その前に──
小さな筋肉をほぐす ゆるゆる体操
濱田俊政
新型タバコと改正健康増進法
第1回 加熱式タバコと電子タバコ
●新型タバコの登場で、タバコ問題が複雑化している。特に、日本が世界の実験場になっている加熱式タバコは、実際には紙巻タバコと同様の有害物質や新しい有害物質が検出されているにもかかわらず、タバコ会社による「有害物質が90%減る」という宣伝の影響で、「健康被害が少ない」「受動喫煙被害がない」などの誤った情報が蔓延している。これまで禁煙だった場所で加熱式タバコの使用が容認されると、受動喫煙被害が拡大することが懸念される。
加藤正隆
江戸のお医者さん
第1回 江戸は「犬の糞だらけ、医者だらけ」
●江戸時代の初期には、室町〜鎌倉時代に宋や明に留学した仏教僧がもたらした金元(李朱)医学、中期以降は「古方派」の漢方医学が主流であった。やがて蘭方医学も登場してくる。
●18世紀に入るころには、人口100万を超える巨大都市に成長した江戸で、急増した医療需要に応えるために医者と薬屋が次々に開業するようになり、日本の歴史上初めての「医療の大衆化」が生じた。
笠原 浩
経営・税務誌上相談 472
消費税のインボイス制度
益子良一
雇用問題 216
職員募集の面接で採用を口約束。労働契約は成立するか
曽我 浩
書評
原田 謙『「キレる」はこころのSOS
─発達障害の二次障害の理解から』
三原龍介
書評
芝田英昭『医療保険「一部負担」の根拠を追う
─厚生労働白書では何が語られたのか』
山田美香