2020・No.1326
月刊保団連 7
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「道」
「困った」を受け入れられる地域づくりを目指して
コロナ禍の自粛生活でストレスを抱える子どもたち
加藤雅江
特集
コロナ危機下の診療報酬改定2020
インタビュー 地域医療を守るために診療報酬はどうあるべきか
 2020年診療報酬改定は、全体改定率で4回連続のマイナス改定となった。詳細で多岐にわたる複雑な改定内容は、医療現場に混乱を招き、患者像や地域の実態に合った医療提供体制を構築できない恐れもある。地域医療を守り、患者の実像に合った医療を構築するために、診療報酬はどうあるべきなのか──。
 元財務省官僚で、2004〜2006年には厚生労働省に出向して医療制度改革にも携わった村上正泰・山形大学大学院医学系研究科教授に聞いた(聞き手:編集部)。
村上正泰
「かかりつけ医」機能拡大と外来・在宅の改定の特徴
●「かかりつけ医」機能に関する制度的枠組みが2018年改定までに完成し、2020年改定では「緩やかなゲートキーパー」機能など「療養の範囲の適正化等」に向けた補強に振り向けられた。本稿では、「かかりつけ医」機能をめぐる改定の経緯と問題点、外来・在宅における今回の改定の特徴について述べる。
武村義人
入院医療の再編・統合と機能分化
●新型コロナウイルス感染対策に多くの人が懸命の努力を行っている。医療従事者もその一員として奮闘してきた。
●2020年度の診療報酬改定に対して、保団連は周知説明の機会が不十分であり実施時期延期を求めてきた。全国の医療機関の経営状況が大幅に悪化し、感染第2波に向けて医療崩壊の危惧が強まっている。しかし政府は新自由主義的政策を転換するつもりはないようだ。本稿では2020年度診療報酬改定を論じ、新型コロナウイルス感染対策を踏まえた医療政策の抜本的転換こそ必要であることを強調したい。
吉中丈志
歯科は治療から長期維持管理へ
●長期にわたって維持管理していくとの観点から、歯科疾患管理料に大きな変更が行われた。また、歯周治療についても、長期に管理し、重症化予防を図るためとして新たな項目も導入された。しかし、歯科医療現場の実際に照らして、適正な評価がされたか、そして、機能していくのか、疑問が持たれる。
●また、長期に管理していく上で妨げる要因となっている「一初診1回の算定」の取り扱いの是正なくして、本当の管理は難しいといえよう。
田辺 隆
新型コロナウイルス感染症対策の保団連要求と診療報酬の臨時的措置
●新型コロナウイルス感染症について保団連は、1月29日から18回の緊急要請を実施。保険医協会・保険医会もマスク等の不足、PCR検査、経営状況等を調査し、緊急要請に取り組んだ。
●この結果、医療機関へのマスク等の配布やPCR検査の増加、診療報酬の臨時的措置等の対策が取られつつあるが、まだまだ不十分である。
●本稿では、要請や診療報酬の臨時的措置の概要を紹介する。
滝本博史
論考
新型コロナ肺炎に対する治療戦略
重症への移行防止で、死なない病気に
●新型コロナウイルス肺炎の重症化には、高サイトカイン血症や毛細血管漏出が関与すると考えられる。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至ると、人工呼吸管理や体外式膜型人工肺(ECMO)による治療をもってしても予後不良である。呼吸管理まで必要としない中等症患者から重症患者への移行を防止できれば、その意義は大きい。最新の研究結果では、レムデシビルやアビガンなどの抗ウイルス薬の効果は限定的である。今後は、抗ウイルス薬に高サイトカイン血症阻害薬や毛細血管漏出治療薬の併用が治療研究の主流になるであろう。
小島勢二
診療研究
AMR対策と抗菌薬適正使用
─小児科クリニックにおける抗菌薬適正使用の実践─
第2回 急性気道感染症と長引く咳における抗菌薬
●抗微生物薬を適正使用するためには、不必要使用、不適切使用に注意する必要がある。不適切使用に繋がらないようにするための抗菌薬選択について考察した。遷延性咳嗽は、反復する発熱・咳とともに、抗菌薬を所望される状況のひとつである。その原因として、感染性、アレルギー性、耳鼻科領域疾患が挙げられる。臨床の場においてよく経験する肺炎マイコプラズマ感染症と急性鼻副鼻腔炎について抗菌薬の適応・選択について述べる。
黒崎知道
アスリートの競技参加に関する心電図評価
●アスリートが運動中に突然死することがあるため、激しい運動の継続や競技参加の可否の判断を行う医師の責任は大きい。アスリートの心電図の所見を評価するために、どのような流れに沿って分類していけばよいのか。また、追加的検査の必要をどのように判断すればよいのか。本稿では、早期再分極の事例を基に考える。
北島 敦
失われた歯周組織を取り戻す
第1回 歯周基本治療のコツ
●歯周外科手術を成功に導き、安定したメインテナンスやサポーティブペリオドンタルセラピーを継続していくために重要な歯周基本治療のコツについて説明する。歯周病治療において良好なプラークコントロールを継続することは最も重要であり、そのためには歯周病の病因を患者にしっかりと理解してもらい、ブラッシングへのモチベーションを長期的に維持する必要がある。また、プラークコントロールを効率良く行うためには、炎症がある深い歯周ポケットやプロービング時の出血に着目してブラッシング指導をするとともに、歯間ブラシを中心とした指導を行うと良い。
神谷洋介
文化
江戸のお医者さん
第7回 古川柳からうかがう町医者の世界
●小咄や落語と並んで、古川柳の世界でも医者や医療はしばしば取り上げられている。『誹風柳多留』などからいくつか拾ってみよう。句を1行に収めるために出典を省略し、表記の一部を漢字に置き換えるなどの操作を加えたことをお断りしておく。
●人情と笑い、そしてお色気にも溢れた江戸川柳の世界をお楽しみいただきたい。
笠原 浩
Q&Aシリーズ
経営・税務誌上相談 478
個人開業医等への新型コロナ対策支援「持続化給付金」
益子良一
雇用問題 222
新型コロナの感染を恐れ出勤しないスタッフへの対応
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉植竹団扇
ドクターの課外活動
第6回 ボブ・ディランに憧れた青春時代、今は……
吉澤泰介
書評
三原純司・関口守衛著『検診で使える!心電図自動診断とのつきあい方』
申 偉秀
VOICE
─5月号を読んで─
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内