2020・No.1332
月刊保団連 10
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「道」
生物学的には「人種」は存在しない
竹沢泰子
特集
コロナ危機で顕在化した課題を克服するために
インタビュー 入院患者の新型コロナ感染判明に直面して
 国内初の新型コロナ肺炎による死者が出てから間もない2月29日、南生協病院(愛知県名古屋市)では入院患者に新型コロナ感染が判明した。当該患者と同室に入院している患者がおり、接触したスタッフも多く、誰がどこまで感染リスクがあるのか、病棟のどこが危険なのか、何もかも分からない混乱状態の中で、様々な判断を迫られることになった。院内感染を出さずに、この状況をいかに切り抜けたのか、また、感染症に強い社会にするためには何が必要なのか、同院の長江浩幸院長に聞いた(聞き手:編集部)。
長江浩幸
コロナ危機打開のための新福祉国家戦略
●現在進行中の新型コロナ・パンデミックとコロナ恐慌の打開には憲法視点に依拠した新福祉国家戦略が必要である。この戦略の柱は、憲法が保障する社会権、すなわち@労働権、A教育権、B所得保障、C社会サービス保障、Dアメニティ空間保障の5つから構成される。これは、所得保障を中心にした生存権を中核とする社会保障を、より包括的な社会権(生存権、教育権、労働権等)を包摂した社会保障へと拡充・発展させる課題でもある。
二宮厚美
グローバル化と新自由主義からの転換に向けて
──何がコロナ感染拡大の温床を生み出したのか
●新型コロナ感染症拡大は、猛スピードで、世界を深刻な事態に追い込んでいるが、その要因として経済のグローバル化と新自由主義による政策が指摘されている。この小論では、感染拡大、死者とも世界で最も多い米国において、この新自由主義的経済政策がどのように実施され、格差社会の深刻な状況がつくり出されたかをまず論じ、それが、社会にコロナ感染症拡大の温床をつくり出した事実を確認する。そして、そこから抜け出る道筋について考えようとするものである。
萩原伸次郎
新型コロナ対応のための国際協調と日本の役割
●グローバル化が進んだ現代社会において、感染症拡大防止のためには国際協調が欠かせない。第二次世界大戦後、WHOの下で各国が協調して様々な感染症に対応してきたが、新型コロナウイルス感染拡大の中では、米中の対立が先鋭化し、先進国による利己的な動きによって、そのしわ寄せが途上国に重くのしかかるなど、多国間の枠組みが有効に機能しにくくなってきている。本稿では、こうした問題を踏まえながら、グローバル時代の感染症対策のために国際協調はどうあるべきか、また、国民皆保険を達成した国として日本はどのような役割を果たすべきかを考える。
詫摩佳代
危機の中で誰が真っ先に犠牲になったのか
困窮者支援の現場から
●2020年3月以降、新型コロナウイルスが感染拡大する中で経済活動がストップしたため、困窮者支援の現場には、収入が激減し住まいを失った人々から相談の電話が殺到した。2008年のリーマンショックと似かよった状況でありながらも、今回は女性からの相談も多く、また、低所得者だけではなく、住宅ローンを抱える中間層からの相談も少なくなかった。コロナ危機下における支援現場で直面する事例から浮かび上がってくるのは、危機に対して公的な支援が十分に機能できなくなった脆弱な社会の姿だった。
雨宮処凛
論考
コロナで「収入30%以上減」医科2割、歯科3割
5月診療分会員アンケート
全国保険医団体連合会 経営税務部
診療研究
高血圧治療の今後
第1回 降圧治療の目標
石川讓治
文化
本当はすごい!トイレの力
第2回 トイレットペーパーには表と裏がある?
●トイレには欠かせないトイレットペーパー。海外に旅行した人なら誰もが感じると思いますが、日本のトイレットペーパーはかなりクオリティーが高いと感じます。質が良くて、しかもあって当たり前だからこそ、無いときのショックは大きいものです。私は、自宅や医院などで日頃から一定量を備えておくことが必要だと考えています。どのくらいの量が必要なのかも含め、皆さんと一緒に考えたいと思います。
加藤 篤
Q&Aシリーズ
経営・税務誌上相談 481
新型コロナ感染拡大防止等支援事業補助金
益子良一
雇用問題 225
歩合給でも有給休暇中の賃金を支払う必要はあるのか
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉植竹団扇
本棚
VOICE
─8月号を読んで─
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内