2020・No.1333
月刊保団連 11
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「道」
誕生から50年を迎えた医療マンガ
落合隆志
特集
子ども虐待の深淵
マルトリートメントによる子どもの脳の変化と親の支援
●虐待をはじめとした親(養育者)からの不適切な養育(チャイルド・マルトリートメント)が、子どもの脳を傷つけることが明らかになってきた。マルトリートメントによるダメージから、子どもたちの脳をいかに守ればよいのか。子どもの脳を傷つけないために「マルトリートメント予防」と「とも育て」の重要性を脳科学の観点から概説する。
友田明美
虐待の背景にあるDVを見逃さない
─トラウマインフォームドケアとは
●2018年3月の目黒虐待死事件から医師・歯科医師、医療周辺専門職が学ぶべきことをまとめた。DVと児童虐待の現状、トラウマインフォームドケア/アプローチにおける3段階のトラウマケア、危機管理学および安全学における「スイスチーズモデル」を援用した事例分析と介入ポイント、DVと虐待が並存する家庭に関わる時の留意点について提示する。
白川美也子
性的虐待を受けるということ
●性的虐待は、子どもに大きなダメージを与え、心身と人生に深刻な悪影響をもたらします。それ以上に問題なのは、性的虐待・性暴力を受けた子どもたちのうち、発見されるのは氷山の一角であり、発見された子どもも訴えを信じてもらえないなどの二次被害を受けていることです。性暴力への理解が進まず、性的虐待の定義も実情を反映していると言えない中、多くの被害が埋もれています。子どもを救える社会にするために、一人一人が実態を知ることが求められます。
山本 潤
教育虐待
「あなたのため」が子どものこころを蝕む
●児童虐待防止法の定義にはない教育虐待が注目されている。日本の親子関係や教育システムは、教育という名目での子どもの権利条約違反を正当化し、精神論を重視するなど、教育虐待が生じやすいと思われる。教育虐待は、線引きのあいまいな「軽い心理的虐待」ではなく、顕在化しにくいがゆえ、長期にわたり子どものこころを蝕み、成長発達に多大な悪影響を及ぼす可能性がある。教育虐待・教育ネグレクトを医療の枠組みで捉えて、親子を縦断的に支援していくことが求められる。
古荘純一
子ども虐待をめぐる法的経緯と課題
●児童福祉法と児童虐待防止法が改正され、2020年4月から「しつけ」「指導」といった名目のいかんを問わず全ての体罰が明確に禁止された。民法の懲戒権規定はまだ残るが、これも今後2年をめどに検討することが法改正の附帯決議に書き込まれた。
●本稿では、子ども虐待をめぐる法改正の経緯を概観し、その結果として急増した「児童虐待対応件数」の意味について考える。ひっ迫する児童相談所の状況を改善し、また虐待する親を監視・摘発するのではなく、支援の対象として社会全体で支える視点が重要である。
内田信也
診療研究
高血圧治療の今後
第2回 後期高齢者の目標レベルと目標緩和の対象
石川讓治
コンポジットレジン修復の基本と応用
第1回 無痛治療のためのう蝕除去法
●コンポジットレジン修復においては、う蝕象牙質外層のみの除去を行うため、術中の痛みも、術後の不快症状もほとんど生じることがない。このう蝕除去法を実践することで患者の歯科治療に対するイメージも変えることができる。最近では、より低侵襲の、あえて感染歯質を残して修復する方法についても、その信頼性が臨床試験により確認されている。こうした術式の普及により、歯髄処置の頻度を下げることが期待される。
田上順次
文化
本当はすごい!トイレの力
第3回 うんちを我慢する子どもたち
●小学生の6割近くが学校でうんちをしたくなったときに我慢しています。また、3人に1人が便秘治療やケアが必要です。この状況を皆さんはどのように思いますか? 生まれてすぐに便秘気味になる赤ちゃんもいますし、離乳食や幼児食、トイレトレーニング、就学のタイミングで便秘になる子どももいます。排便はとてもデリケートなので他人に相談しづらいテーマです。だからこそ、私たちはもっと排便に関心を持つべきですし、困ったときに安心して話せる環境をつくるべきだと思います。
加藤 篤
解説
発熱外来診療体制確保支援補助金
(2020年10月20日現在)
Q&Aシリーズ
経営・税務誌上相談 482
所得税予定納税額の減額申請
益子良一
雇用問題 226
スタッフを注意したら解雇と年休の買い取りを要求された
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉植竹団扇
ドクターの課外活動
第8回 当直の医局・研究室にバイオリンの調べ
埜口五十雄
VOICE
─9月号を読んで─
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内