2021・No.1336
月刊保団連 2
PDF内の写真・文章の無断転載を固く禁じます。
「道」
LGBTとパワハラ防止法
〜誰もが加害者・被害者にならないために
松岡宗嗣
特集
歯科医療は感染症流行にどう備えるか
歯科医療費の総枠拡大で脆弱性の克服を
危機に強い歯科医療体制の構築に向けて
●新型コロナウイルスの感染拡大の中で、多くの医療機関は厳しい経営状況に直面した。とりわけ歯科医療機関は、コロナ危機以前から医科・歯科格差の中で軽視されてきたことに加え、厚労省の事務連絡をきっかけとするマスコミ報道や風評被害による患者数の減少で、大きなダメージを受けている。コロナ危機で明らかになった脆弱性を克服するためには何が必要か。本稿では、明治期までさかのぼって今日まで続く歯科軽視の医療政策について問題点を整理するとともに、危機に強い歯科医療体制を構築するためには歯科医療費の総枠拡大が必要であることを述べる。
宇佐美宏
コロナ後も見据え、安全・安心の歯科医療に
──保団連による8つの提言から
●2020年4月、新型コロナ感染が拡大する中、厚生労働省の事務連絡がきっかけとなり、歯科治療は不要不急とされ受診抑制が広がった。歯科医院経営は危機的な状況となり、口腔状態が悪化する患者も見られる中、同年8月保団連は「新型コロナウイルス感染症の流行を受け歯科医療提供を維持し、国民の健康を守るための提言」を決定。安全・安心の歯科医療提供を実現するための解決策を示した。コロナ流行以前から問題だったことが危機の中でさらに悪化したものも少なからずあり、その解決はコロナ後の歯科医療を守ることにもつながる。
池 潤
歯科医師にどのような行動変容が求められるのか
●新型コロナウイルス感染症は全世界でパンデミックを引き起こしています。日本ではマスクの着用・3密の回避・手洗い・消毒などの基本的な対策の徹底に加え、ソーシャルディスタンス・「静かなマスク会食」など、生活様式が一変しました。歯科医療従事者の私たちにも行動変容が求められています。感染症対策として歯科医療従事者が取るべき対応について考えます。
黒川英雄
コロナ流行下における意識調査と受診勧奨の取り組み
歯科の受診控えによる重症化を防ぐため
●新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、あたかも歯科治療が感染の場であるかのような情報が流されたため、患者・国民の間に不安が広がり、受診控えに拍車がかかった。そのため、必要な歯科治療が受けられず、口腔状態が悪化する患者が見られるようになっている。本稿では、「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が患者・国民を対象に行ったWebアンケートの結果を紹介するとともに、全国の保険医協会・医会や保団連が行ってきた受診控えによる重症化を防ぐ取り組みを振り返る。
森元主税
安心して受診してもらうため 私の工夫@
患者さんの思わぬ一言がきっかけで
早坂美都
安心して受診してもらうため 私の工夫A
奥の手を求めず、地道に、愚鈍に感染予防を
小関健司
安心して受診してもらうため 私の工夫B
コロナ収束後も当院の新たな標準予防法に
三木武寛
安心して受診してもらうため 私の工夫C
患者数を減らし、時間をかけてじっくり説明
工藤圭介
論考
新型コロナワクチンの残された課題とは
国内接種の開始を目前に控え
●間もなく日本で供給開始が予定されている新型コロナウイルスのワクチンについて、今、大きな関心が集まる中で、mRNAワクチンにおいて予想を上回る95%の有効率が確認された。短期間での実用化に加え、その接種が人類にとって初めての経験であるため安全性が懸念されていたが、これまで報告されている副作用を見る限り既存のワクチンと変わらない程度となっている。おおむね、当初の懸念は払拭(ふっしょく)されてはいるが、これから本格的な接種を始めるにあたり、慎重を要する点も残る。
小島勢二
診療研究
糖尿病治療の最新の話題
〜糖尿病診療ガイドラインにふれて
第1回 心血管アウトカム試験の主要項目で評価
●降圧療法に関しては、心血管主要評価項目で評価したCVOTの結果、「血圧を下げること」の有用性が普遍的に示されている。これに対して、糖尿病治療で「血糖値を下げること」に同様の有用性があるか否かは最近まで必ずしも明確ではなかった。90年代のUKPDSの報告は厳格な血糖管理において有用性が示唆されていた。一方、DPP-4阻害薬、スルホニル尿素薬、チアゾリジン薬、インスリンなどにおいては心血管リスクの軽減は証明されてはいない。しかし、最近の研究において、SGLT2阻害薬が心血管疾患のハードエンドポイントを減少させるとのエビデンスが明らかにされた(GLP-1受容体作動薬はソフトエンドポイントで証明)。最近の欧米のガイドラインにおいてはこれらが新たに優先される推奨薬として改訂されている。
栗山 哲
コンポジットレジン修復の基本と応用
第4回(最終回) 術後管理と補修
●コンポジットレジンは口腔内で様々な変化を示す。多くは臨床的に許容できるものであるが、時として破折などを生じることもある。トラブルに対しては多くの場合、補修で対応が可能であり、再研磨や再仕上げ、いわゆるリファービッシングで、コンポジットレジン修復の臨床生存期間は増加することが報告されている。
田上順次
文化
本当はすごい!トイレの力
第6回(最終回) 不確実な時代とトイレの時間
●私たちは、変化が激しく、より不確実になった時代をどのように乗り越えていくかを問われています。日々、難しい判断を迫られることを脳は嫌い、精神的に疲労していると目の前の欲求に飛びついてしまいがちになるようです。そうならないためには、気分転換を定期的に取り入れてリフレッシュすることが必要です。トイレに行くことは、その1つです。この連載の最終回に、トイレに行くことの価値について考えてみます。
加藤 篤
続・まなざしの力
第2回 後藤文雄(2)
3つの価値
渡辺 考
Q&Aシリーズ
経営・税務誌上相談 485
確定申告する上での留意点
益子良一
雇用問題 229
退職した職員がパワハラを訴え、あっせん開始通知書が来た
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉植竹団扇
書評
石川県保険医協会『歯科保険診療便覧 2020年度点数改定版』
新井良一
VOICE
─12月号を読んで─
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内