医師に検討義務ない 財務省がリフィル対応を問題視

日経新聞社説は的外れ

全国保険医新聞6月5日号より

 財務省や日本経済新聞がリフィル処方箋に応じない医療機関を問題視している。今次改定ではリフィル処方の運用手続きを定めたにすぎず、医師に検討する義務などはない。受診を間引くリフィル処方箋は廃止すべきだ。

2022年診療報酬改定では、1処方期間につき3回まで調剤を可能とするリフィル処方箋が導入された。患者は、その期間中、医師の受診を経ずに薬局で服薬状況等の判断をしてもらい調剤を受ける。例えば1処方30日×3回で90日などとする運用だ。医師が処方期間に対し責任を負うこともあり、リフィル処方を採用する医療機関ははほとんどない。
こうした中、財務省は「医療機関としてリフィル処方に対応しない方針を掲げている事例」や「処方箋のリフィル可欄に患者への特段の説明や患者の同意がなく打消し線が入っている事例」などが見られるとして問題視している(財政制度等審議会、4月13日)。同様に、『日本経済新聞』の社説(5月2日)は、リフィル処方の可否は「個々の患者の病状を踏まえて医師が個別に判断すべきもの」であり、「『自医院の方針』として一律に対応を拒否するのは制度の趣旨を逸脱している」などと述べている。

医師にリフィル検討は課していない

今次定では、リフィル処方について医師が可能と判断した場合、処方箋の「リフィル可」欄に「レ点」を入れることなどを定めたが、医師が個々の患者について逐一リフィル処方の可否を念頭に置いて診察することなどは求めていない。財務省や日経新聞の批判は的外れだ。また、医療機関側で打消し線を入れるのは、厚労省が示した処方箋では患者が勝手に「リフィル可」にチェックしても薬局では見わけがつかないため、改ざん防止で行っている事情もある。

受診間引くリフィルは廃止すべき

日本医師会の調査(2017年3月)に見られるように、1カ月間を超える処方について、患者の服薬遵守不備、症状悪化や副作用の発見遅れなど様々なリスクが報告されている。合併症や新疾患の発見遅れの可能性が高くなる。医療安全面のリスクとともに、医師は医学的管理など総合的に判断して、受診間隔を定めて処方期間を設定している。診断をしない薬剤師に長期に渡って患者の管理を委ねるリフィル処方箋に応じないとする構えは当然といえる。
コロナ禍で患者・国民の健康・疾病状態も悪化する中、受診間引きを助長するリフィル処方箋は廃止すべきだ。