コロナ禍を乗り越えて 平時から余力ある医療体制を

第51回夏季セミナーを開催

国民生活、社会保障の回復を

 保団連は7月2、3日に都内で第51回保団連夏季セミナーをウェブ併用で開催。保団連の政策について学習と討論を深めた。ウェブ併用による開催は2回目。全国から医師・歯科医師等約400人が参加した。
住江憲勇会長は開会あいさつで「政府は、今年に入って新型コロナウイルス感染拡大の第6波を経験したにも関わらず、感染症対策の原則に立ち返ることなく相変わらずの無為無策に終始している。6月に閣議決定された骨太方針2022は、5年間で防衛費を倍増するなど、大軍拡とさらなる新自由主義推進の内容だ」と政府の対応を批判した。その上で「今必要なのは、労働分配率の改善、雇用の改善、所得再分配機能の回復であり、これらを求める国民の戦いなくして、破壊された国民生活、社会保障の回復はあり得ないのではないか」と訴えた。
初日は中島幸裕保団連副会長の基調提案に続き、上智大学国際教養学部教授の中野晃一氏が記念講演した。2日目は物価高騰、ウクライナ戦争と平和主義、ジェンダー平等、歯科診療報酬改定をテーマに4つの講座を開催。午後は、「コロナ禍で問われる医療者と患者の向き合い方」をテーマにシンポジウムを行い、シンポジストとして全国公私病院連盟会長の邉見公雄氏ら4人が登壇した。

医療者と患者の向き合い方 シンポジウム

診療所、在宅、入院での取り組み

3日の午後には、「コロナ禍で問われる医療者と患者の向き合い方」をテーマにシンポジウムを開催した。2年半のコロナ禍で、地域の医療機関は日常診療を継続しながら、発熱外来、検査・ワクチン接種などのコロナ対応が求められてきた。多くの医療機関がその役割を発揮していた。
基調提案した全国公私病院連盟会長の邉見公雄氏は、「コロナ禍以前から余裕ある医療提供体制を国に求め続けてきた」と述べ、医療提供体制の削減・縮小を進める国の医療政策の転換を求めた。
4人のシンポジストからは、診療所、在宅医療、入院医療での取り組みと課題が報告された。
福岡で有床診を開業する林外科医院理事長の林裕章氏は、発熱外来やワクチン接種に取り組んだ経験を踏まえつつ、「有事」を考慮せず診療報酬を削減してきた国の政策を批判し、国の責任で医療インフラを整備すべきとした。

「命の選別」防ぐ手立てを

東大阪生協病院院長の橘田亜由美氏は、医療逼迫で「命の選別」が現実化する中、コロナ緊急往診に奮闘した経験を報告し、医療崩壊、保健所逼迫を防ぐ抜本的な手立てが必要と訴えた。
入院医療の逼迫が続く東京でコロナ患者を受け入れてきた立川相互病院副院長の山田秀樹氏は、通常の医療体制の縮小や職員の感染、マスコミ報道による風評被害などで経営危機に陥った経験を報告。急性期病床でのコロナ対応の課題を提起した。