物価高騰、医療機関を直撃

緊急財政措置を要望

 光熱水費や食材費の異常な高騰が続き、医療機関経営をも直撃している。保団連は7月20日、厚労省に緊急要望書を提出し、入院時食事療養費等の緊急引き上げと医療機関等への緊急財政措置を求めた。

 

「病院経営では死活問題」

福祉医療機構が7月6日に公表した6月の病院経営動向調査(回答数268医療機関)によると、前年度同時期(4~5月)に比べ、原油価格や物価高騰により「影響を受けている」と回答した施設は約87%となり、そのうち約54%が医業費用・サービス活動費用が前年上半期比で「5%以上増加見込み」と回答した。
山形協会が7月上旬に実施した会員アンケート(回答数135医療機関)では、6月の電気料金について、診療所の82%、有床診療所の100%、病院の97%が「前年同月比で上がった」と回答しており、そのうち、診療所と有床診療所では約40%、病院では80%が「前年同月比で20%を超える上昇」と回答した。
山形協会のアンケートでは、「病院経営において、急激な光熱水費(特に電気料)の高騰は死活問題と考える。コロナ対策のため、換気を行いつつの冷房は効率が悪い一方で、入院患者の環境を考えると、冷房温度を高く設定することも困難」などの声が寄せられた。

「患者負担にはせず食材費10円上げた」

食材料費の高騰が入院食に与える深刻な影響も明らかになった。「患者負担にはせず食材費を1食10円上げた。今後も上げなければ質を保つのが難しい」「果物の使用頻度を減らす、冷凍野菜を使用するなどしている」などの実態が寄せられた。
コロナ対応による経費増に追い打ち
新型コロナウイルスの感染拡大への対応による経費増や患者の受診控え、度重なる診療報酬のマイナス改定などで経営基盤が脆弱化している医療機関に、光熱費や食材費の高騰が追い打ちをかけている。このままでは、療養環境の維持、地域の医療提供体制にも影響が出かねない。
厚労省は、光熱水費や食材費の高騰に対して、医療機関、介護事業所等についても「地方自治体の判断で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用できる」と事務連絡している。しかし、多くの自治体では対応されていないのが現状だ。保団連は、こうした事態を踏まえ、すべての医療機関等を対象に光熱水費や食材費の高騰に対する財政措置を講じること、入院時食事療養費、入院時生活療養費の緊急引き上げを強く要望した。