ジェンダー表現を考える 意思決定層に女性を

世界経済フォーラムが7月に発表したジェンダーギャップ(男女格差)の報告では、日本は146カ国中116位。G7では最下位だ。「女らしさ」「男らしさ」にとらわれないジェンダー平等社会の実現には何が必要か。今年3月に「失敗しないためのジェンダー表現ガイド

ブック」を発刊した日本新聞労働組合連合(新聞労連)のメンバーのリレー連載で、新聞やインターネットで発信されるジェンダー表現を手掛かりに考えていく。

日本新聞労働組合連合(新聞労連)は近年、ジェンダー平等について積極的な取り組みを進めている。その一つが今年3月に発刊された『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』(小学館)だ。いずれもメディアにおけるジェンダー感覚が遅れている事情が背景にある。

事務次官のセクハラ問題きっかけに

2018年4月に発覚した財務事務次官からの女性記者へのセクハラの問題をきっかけに、新聞・通信社で働く女性たちが長年社内外で受けてきたセクシュアルハラスメントの告発が相次いだ。数十年前から続いてきた人権侵害の被害だが、業界内で「いなせ」「大ごとにするな」と被害を受けてきた女性が黙らされてきた経緯がある。また労働組合でも積極的に解決に向けた活動を展開してこなかった。

同月開催の新聞労連女性集会では、長年セクハラ被害について職場や労組の中で主要テーマにならなかったことについて話し合われた。集会では「労組や会社の意志決定層に女性がほとんどいないことが影響している。意思決定層に女性を増やすことが急務だ」という見解がまとめられた。近年は新聞・通信社の新入社員の半数、半数以上が女性で占めるようになったが、従業員全体で見ると女性の比率は2割程度。役員については、平均で見てみると女性は1割にも満たないという現実がある。

クオータ制を導入

『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム/小学館/15400円(税別)

新聞労連では、前出のように組合員の声の高まりから、19年1月に意思決定層である「中央執行委員会」における女性の割合を3割以上にするため、クオータ制「特別中央執行委員制度」を導入した。特別中執は、会議参加だけではなく、職場にはびこる旧態依然のジェンダー不平等をなくすため、酷い現状を訴える集会やアンケートなどを実施し、現状を社会に訴える、といった改善に向けた活動をけん引している。
20年秋に開かれた特別中執の会議の中でも編集職場における理不尽な現状が報告された。
「ウェブニュースで、性的なものを連想させる見出しを直すよう訴えたが、担当者が対応しない」。
これに対し、特別中執らは「会社内で訴えて響かないなら、全体に示す指針を自分たちで作り社外から響かせよう」という意見で一致し、指針作成に乗り出した。単組の協力を得て、実際の記事や写真など実例をもとに検討を重ねた。

労組の指針としてスタートしたものだが、酒井かをり出版労連委員長(当時)、出版社の協力と理解を得て、書籍化した。同書は、SNSなどで個人の発信が活発になる中、労組や業界を越えて市民や行政、企業などでも利用されるものとして普及し始めている。