6割が発熱外来実施 愛知協会が調査

 新型コロナウイルス「第7波」では、多くの医療機関が困難を抱えながらも発熱外来を実施している。愛知協会は、発熱外来に関する会員実態調査を実施・公表した。今後、行政の改善やマスコミ各社に正確な情報に基づく報道を要望していく。

新型コロナウイルスの「第7波」では、「開業医は発熱外来に協力していない」など事実に基づかないマスコミ報道が散見された。愛知協会は、発熱外来を実施している医療機関の困難さと発熱外来を実施して医療機関の理由等をマスコミや行政に発信するため会員調査を実施した。
調査対象は医科開業医会員3497件。調査期間(7月27日から8月5日)中に881件(回答率25・2%)から回答が得られた。
61%(535件)が「現在、発熱外来を実施している」、39%(346件)が、「現在、発熱外来を実施していない」と回答した。

通常診療との併存が困難

発熱外来を実施している医療機関に「実施する上での困難さ(複数回答)」を聞いたところ、「通常診療との併存が困難」(391件)が最多となった。「一般患者の減少」、「発熱外来等による診療時間の増加等」との回答もあり、スタッフの過重労働が発生していることも分かった。
「HER︱SYSなどの事務負担が大きい」(331件)との回答も多く、「入力項目が複雑で相当な時間を要する」、「患者からの多数の電話問い合わせ」などが事務負担増を招く原因となっている。
また、「検査キットの不足」(308件)、「スタッフなど人の確保が困難」(231件)、「発熱外来の受診者数を制限せざるを得ない」(292件)など、スタッフの感染等で人員確保が困難なケースや検査機材・キットの不足等で受診制限せざるを得ない状況が報告された。
「検査料など診療報酬が低すぎる」(194件)ことも体制を維持する上での困難の一つである。

動線、人材確保できない医療機関も

発熱外来を実施していない医療機関にその理由を聞いたところ、「通常診療との併存が困難」(202件)が最多となり、「時間的・空間的な隔離ができない」、「透析外来や障害者施設であるため実施できない」などの回答もあった。精神科や皮膚科、眼科などからは「診療科が異なる」(191件)との理由で発熱外来を実施できないとの回答があった。 「院内の動線確保が困難」(168件)との理由から発熱外来を実施してないとする医療機関も多い。
大型ショッピングセンターなどにテナントで入る医療機関等からは、「建物内に発熱者が立ち入れない」との回答があった。
「医師を含めたスタッフ全体が高齢」、「基礎疾患を抱えたハイリスク対象者がいる」などから「スタッフなど人の確保が困難」(145件)と回答があった。一方で、「診療・検査医療機関としての発熱外来は実施していないが、コロナ疑い患者にPCR検査を実施している」などコロナ対応に従事する医療機関も報告された。