炎天下で検査、残業の日々 コロナ禍と医療現場

福岡協会 林 裕章

 新型コロナウイルス「第7波」では、発熱外来の逼迫や医療従事者への感染拡大などで通常の医療提供も困難を抱えている。発熱外来やワクチン接種に奔走してきた福岡協会の林裕章氏の医療現場の現状と課題を聞いた。

新型コロナウイルス「第7波」が襲来し、ベッドタウンに位置する当院でも発熱外来とワクチン接種予約の電話が鳴りやまない。用件を聞くだけで回線はふさがり午前中が終わり、一般の電話が全くつながらず、業務に大きく支障をきたしている。
当院ではできる限りの対策を取り、一丸となりやってきたが、日常診療には大きく負荷がかかり、スタッフは疲弊している。ワクチン接種業務は殺到する予約から手間はかかるが、収入は多くない。

過酷な発熱外来

もっとも大変なのは発熱外来である。ナースと私は炎天下、駐車場を走り回りPCR検査をする。毎日残業である。引退の年齢の父に鞭打つように一般外来をお願いしている。無駄に面倒なHER︱SYS入力のため事務員は毎日10時過ぎまで残業である。これらはずっと続くわけではなく、スタッフの増員もはばかれる。そもそも「コロナ中心」の診療は、医院・患者共に将来の不安を残す。
さらに、スタッフに感染者がちらほら現れ、ギリギリの人数で疲弊しているスタッフに追い打ちをかける。また、後方支援病院もスタッフや入院患者にクラスターが発生している。まさに現場は混乱、綱渡りの毎日である。
そんな中、COVID︱19を5類にすると、もう体力が持たない。発熱者を診療するクリニックは激減するであろう。
政府には次の要望をしたい。「ワクチン接種業務のコストを上げる」「スタッフ感染の際の人員補充」「HER︱SYSに簡単に入力できるソフトを開発し配布すべき」「COVID︱19を5類にしない」。