小児口腔機能管理料

2022年歯科診療報酬改定をシリーズで解説する。今回は、小児口腔機能管理料を取り上げる。(全19回)

 

 

 

小児口腔機能管理料(小機能)は口腔機能の発達不全を認める18歳未満の患者に対して、正常な口腔機能の獲得を目的として診療を行った場合に算定できる。
改定前は15歳から17歳については、15歳の誕生日までに管理を開始した患者のみが対象であったが、今次改定で対象年齢が15歳未満から18歳未満に拡大し、15歳を過ぎて管理を開始した場合でも算定可となった。
小機能は歯科疾患管理料(歯管)または歯科特定疾患療養管理料(特疾患)を算定した患者でかつ、口腔機能発達不全症と診断され、正常な口腔機能の獲得を目的として継続的な指導および管理を実施する場合に月1回100点を算定できる。
口腔機能発達不全症の判定基準は「離乳完了前」と「離乳完了後」に分けられる。
チェックリストに示すように離乳完了前は「A機能」の「食べる」の1項目を必須(①)とし、①に加え「食べる」「話す」から1項目に該当(②)すれば、口腔機能発達不全症と診断されて歯管の管理対象となる。さらに②に加えて全体で3項目以上該当する場合は小機能の管理対象となる。
離乳完了後は、「B分類」の「咀嚼機能」の1項目を必須(①)とし、①に加え「A機能」の「食べる」「話す」に該当(②)すれば口腔機能発達不全症と診断されて歯管の管理対象となる。さらに②に加えて全体で3項目以上に該当する場合は小機能の管理対象となる。
算定に当たっては患者等の同意の上、口腔機能の評価及び一連の管理計画を策定し、その内容を患者等に説明、管理計画に係る情報を文書により提供し、写しをカルテに添付する。また管理を行った場合には指導・管理内容をカルテに記載する。
初回は患者の状態に応じて口腔外または口腔内カラー写真を撮影し、その後は少なくとも3回の算定に1度は撮影し、カルテ添付またはデジタル画像を電子媒体に保存する。管理を行うに当たっては「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とする。
小機能を算定した月は周術期等口腔機能管理料(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)、歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(小訪問口腔リハ)、歯科矯正管理料は併せて算定できない。
口腔機能の発達不全が疑われる患者に対し、口腔機能発達不全症の診断を目的として口唇閉鎖力測定器を用いて口唇閉鎖力を測定した場合は、小児口唇閉鎖力検査(小口唇)100点が算定できる。
(歯科社保・審査対策部員 加藤明彦)