ブックタイトル医の倫理

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医の倫理

シンポジウムPanelist 2薬害エイズ被害者として政官業学の倫理を問う私自身は薬害エイズの被害者として医療の倫理問題にずっと関わってきました。私は生まれながらにして血友病という血が止まりにくい病気を抱えており、今も補充療法という血液製剤の注射を続けています。薬害エイズ問題は、血液製剤の中にHIVが入っていかわた川田りゅうへい龍平氏(参議院議員)たことを知りながらそれを使ってきた医師、販売させ続けてきた厚生省、そして販売し続けてきた製薬企業の政官業学の癒着が原因でした。官僚と企業と学者の癒着、医者の癒着、さらにその背景には製薬企業から政治家への多額の企業献金があり、そういった形での政官業学の癒着構造によって引き起こされてきた薬害エイズという問題。その被害を受けて自分自身がHIV感染者となり、また血友病患者でもあるという苦しみがそこから始まりました。そして20年前の19歳の時に実名を公表し、国相手の裁判を闘ってきたのです。4日に提出しました。この法律案を仕上げるまでには、非常に長い期間がかかりました。臨床研究とは何か?という定義から考えなければならず、たくさんの方に協力していただいてここまでつくり上げることができたのです。私自身が薬害問題を経験した者として、二度と同じことを繰り返してはならないという思いと共に、これをしっかりと法律にしなければならないという強い信念を持ってこの7年間取り組んできた、ひとつの成果だと自負しています。薬害問題を繰り返さないために戦争犯罪から薬害問題へ私は20年前に、広河隆一さんが書かれた『エイズからの告発』という本を呼んでこの問題を知りました。ちょうど自分が実名公表する直前に読んでいた本です。また広瀬隆さんの『腐食の連鎖』という本は、「薬害と原発にひそむ人脈」という副題で1996年11月に書かれたものです。当時こうした本によって薬害の問題とその利権に絡む背景を知り、それによって薬害が繰り返されていることが理解できました。薬害には、スモン、サリドマイド、クロロキンなどがありますが、裁判になったのはC型肝炎やイレッサ、医療器具でいえばヤコブ病などがあります。今起きているのは、薬ではありませんが子宮頚癌ワクチンの問題ですね。こうした薬害を二度と繰り返さないためにはどうしたらいいのかと思い、8年前に国会議員になってから薬害を防止するための法律を準備してきました。ただ、1人では法案が出せませんので、最低人数11人の参議院議員で会派を組んで、今回ようやくこの法案を提出するに至ったところです。「臨床研究の実施の適正化等に関する施策の推進に関わる法律(案)」というもので、3月薬害の問題を遡ると、やはり日本が歴史的な反省をしないまま医学・医療を進めてきてしまったという事実に突き当たります。特に731部隊の研究データが免責と引き換えにアメリカに渡され、戦争責任をとるべき人たちがそれを免れたということ。彼らがその後に集まった金沢大学は今もいろいろと問題を起こしていますし、関係先のひとつである京都府立医科大ではディオバン事件が起きています。国立予防衛生研究所というところには感染症研究をした人たちがたくさんいて、その人たちが実はエイズ研究班などにも入っているわけですね。そのように感染症対策として細菌を研究してきた人たちが、国立感染症研究所に名前が変わってからも系譜として残っています。そういったところで教える人たちに倫理学的な視点がなければ、教えられて育つお医者さんたちも、結局そういったものは学ばずに医師になっていきます。患者がマルタと呼ばれていた時代と同じように、患者を人として見るのではなく医学のための材料として今も扱っているところがあるのではないか。というのは、国会質問のために資料などを調べている22