ブックタイトル医の倫理

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医の倫理

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医の倫理

シンポジウムというのは、法案を通すにはやはりタイミングというものがあるんですね。ディオバン事件が2年前の夏に発覚して以降、それをきっかけに厚生労働省が検討会をつくりました。そして「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」として去年12月に報告書を出したところです。つまり厚労省としても、この法制化に取り組まなきゃいけないところまで今来ている。閣僚の閣法としても今準備がされているところなのです。しかしその中身は、検討会の最終報告書を見ると、非常に狭い範囲で臨床研究というものが定義づけられています。非常に狭い範囲の臨床研究だけを法制化していこうという方向になっている。一方で私が今回つくらせていただいている法律案は、もっと広い範囲を対象としたものです。人に直接何かを加えない単なる観察研究をどこまで臨床研究に含むか?というところで、侵襲性が高く人に危害を加える危険性が高い研究に、尚かつディオバンの事件も入るような非常に難しい定義をしっかりと決めています。できるだけ広い範囲を臨床研究として定義づけられるように、今回この法律を準備させていただいているところです。法制化実現に向けて世論の後押しを私自身は、患者・被験者として9歳の時からずっとインターフェロンを打っています。当時はそれがC型肝炎に効くかどうかも分からない、それこそ治験の段階からインターフェロンを使っていました。東大の医科研で「そんなに小さい子がインターフェロンを使っているのは日本で初めてだよ」と言われたことや、点滴ベータから後にお腹の注射に変わって痛かったのを覚えています。そうしたことを自分が被験者として経験してきましたので、早く新しいものを使いたいという思いも非常によく理解しています。法律というものは、その早く使いたいという気持ちと、薬害被害者として安全や有効性をしっかり検証しなきゃいけないという両面に立ち、きちんとした被験者保護をやりながら、それでいて研究が進むようにという配慮もしたものでなければなりません。私たちは今回まさにそれを用意し、国会に提案したわけですが、今後さらにそれを議論の俎上に上げるというハードルが残されています。特に今国会は安全保障や労働の法制が控えています。いろいろと重たい法律がかかっている中で、議員立法のこうした法律をテーブルに乗せ、議論しようというところに持っていかなければいけません。それがまさにこれからですので、是非皆さんのご理解をいただき、こういう法律は必要なんだという世論を盛り上げていただく必要があると思っています。どうかよろしくお願いいたします。ご静聴ありがとうございました。Panelist 3違うから比較する「日独の戦後」私自身は、やはりドイツから学ぶものはあると思っています。ただ今の日本の状況は、メルケル首相の来日などに対する日本政府の対応などを見ていても、ドイツを引き合いに出すのは何か都合が悪いかのように見受けられますね。「日本とドイツは全く違うんだから、比較しても意味がない」みたいなことが外務省のホームページにも出ていたりします。でも違うから比較するのであって、同じだったら比較することないじゃないかと私は思うのですが。比較には当然目的があります。それは両ケースをより深く理解するためであり、ドイツを持ち上げたり日本をけなしたりするためではありません。いしだ石田ゆう勇じ治氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)皆さんも是非、外務省のホームページをご覧になってください。Q&Aというページの「国・地域」というところで「アジア」をクリックし、さらに「トピックス」のところに「歴史認識」というのがあって、そこをさらに行くと「歴史問題Q&A」というのが載っています。24