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医の倫理

歴史を踏まえた日本の医の倫理の課題川田まず企業献金の廃止については、今、私が属する維新の党が提案している法案の中にも入っています。特に政党助成金がありながら、政党支部を通して企業献金や団体献金を受け取っているということで、これに対する規制をしていこうということです。ただ結局この問題は、団体献金を受けている自民党や民主党の反対がある限りはなかなか難しい。今、共産党が出している法案は、企業団体献金とパーティ券ですね、これも規制していくということです。パーティ券がある意味抜け穴になっていますので、そういうところも規制していくと言われていますが、こういった問題はやはり与党が賛成しなければ法案としては成立しません。多数を取らなければ法律はできないということですので、事実上の規制をしていくのは、法律上は難しいというのが今の現状ではないかと思っています。患者申出療養は、今報告会にかかっている医療保険制度改革の一貫で、特に国民医療保険の改正案で新たな仕組みとして出てきたものです。今までは精神療養というものがありましたが、厚生省は患者申出療養を混合診療だとは絶対に言わないですね。混合診療ではない保険外療養ということで、選定療養や先進医療、高度医療などと一緒に、今後もっと緩くしていこうとしています。これも規制改革会議がそう言っているからということです対に混合診療とは言いませんが、そういったものを認めさせていく方向です。その結果、たとえば今100万円の薬が21万円安くなるだけの話ですが、それでも安くなるんだから患者にとってはいいじゃないかと言われてしまうと、結局、その薬を使い続けると保険が適用されないままずっと保険外で売られ続けることになるわけですから、結局のところ、そういった薬は健康保険に入っていても保険では使えないことになっていきます。お金を自己負担する分が増えていけば、ますますお金がある人は最新治療が使え、お金のない人は使えなくなる。その将来的な予測はなかなか想像するのが難しいので、そういったところに将来に対する不安を患者は感じています。患者団体からは誰1人として患者申出療養を求める声はありませんし、政府も誰からも聞いていないんですね。にも関わらず、患者申出療養ということで患者がいかにも求めているかのような制度がつくられているというのが今の現状ではないかと思います。こういった制度が認められ、本当にこのままいくと保険制度が危機的な状況に陥っていくことは既に皆さんも感じているところだと思います。そういう意味で、今国会は非常に重要なのです。是非、保険医の皆さんを中心に、患者の方も危機感をもって取り組んでいっていただきたい課題だと思っています。が、内閣府も規制改革会議からの提案で、患者が申し出をすれば中間でまず審査をして、2回目には2週間の審査でいいということになっています。そのようにどこでも使えるようにしていくということですが、本当にどこでもということではないらしく、一応、臨床研究の中核病院等でまずはしっかりやるんだといっています。その司会現実の医療制度の課題が話題になりましたが、今日は医療制度研究会副理事長の本田先生が来られています。いろいろな運動にも携わっておられますので、今のことのコメントや医の倫理について何かご意見ありましたらお願いしたいと思います。上で審査もしっかりやるんだということで、将来的には保険診療を目指していくから、これは混合診療として患者の自己負担が増え続けることはないと。ただ、それを本当に保障するものはありません。先進医療が実際そうですが、昨年は1件も保険適応されていません。保険医の皆さんは恐らくお分かりだと思いますが、一般の人には大変分かりにくい保険制度の仕組みになっています。さらには混合診療とは何かということを話すと30分くらいかかりそうですが、皆さんはご存知だと思いますのであまりそこは説明しません。基本的には今後、患者申出療養ということで、ある意味患者に自己責任を押し付けるような形で、患者が言ったんだからということで進めていこうということです。たった6週間や2週間で安全性や有効性がちゃんと審査できるとは思えないのですが、そういったものを保険外でも同時にも使えるように混合診療化して、厚生省は絶質問者本田宏氏/埼玉県(埼玉県済生会栗橋病院医師)貴重な時間に機会をいただきありがとうございます。私は十数年、医師不足について取り組んでいます。昨日たまたまテレビ愛知の激論コロシアムというのに出まして、もし宜しければYouTube激論コロシアム4月11日と入れるとパッと見れますのでご覧頂きたいのですが、田村元厚生労働大臣と国立ガンセンターで今は山形大学の嘉山先生と討論する機会がありました。そこで本当に感じたのは、「Put the patient first」じゃないんですよね。例として出てきたのは平野病院で、90床で医師が4人しかいなくなってしまい、病院長が週に3回当直しているという場面がありました。地元の人は37