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2020年度診療報酬改定特集

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2020年度医科第一次新点数検討会決議

※全国保険医団体連合会は、3月20日に開催した「医科第一次新点数検討会」にて、2020年度医科診療報酬改定に対して下記の決議を上げ、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:277KB])。


【決議】「三位一体改革」にそった政策的改定を止め真に「療養の給付」たる改定を求める

 

 本日、全国保険医団体連合会に加盟する我々は2020年度診療報酬改定に関する検討を行った。新型コロナウイルスの感染が広がる中、厚生労働省による地方厚生(支)局、都道府県幹部職員向けの説明会が中止された。代わりに厚生労働省は計7時間に及ぶ解説動画を配信したが、全ての医療従事者が閲覧のための通信機器を持っている訳ではなく、環境が整っている訳でもない。「療養の給付」を受ける側の国民に至っては言うまでもない。
 一方、中医協答申から官報告示・正式通知発出まで時間がない中、配信用資料と算定ルールや施設基準の通知作成のために、厚生労働省担当職員の過酷な労働と努力があったと推察される。我々はそのことに敬意を表する。しかし、我々が官報告示や正式通知を前回改定と突き合わせて検討した結果そこに見えたものは、例年以上に分かりづらく、未だに疑義が数多く散見される改定の全体像であった。
 端的に言って、現在のタイトな改定スケジュールのまま、加速度的に複雑化する改定を続けるなら、「療養の給付」が破綻しかねない。我々も患者に対して責任を持って「療養の給付」を行えない。政府は改定内容の適用日の延期を真剣に考えるべきである。
 一方、改定が複雑になっている要因は、患者への直接的な医療サービスの充実ではなく、政策的改定が中心に据えられていることだ。「三位一体改革」と称して医療提供体制の改革つまり病床削減、医師・看護師など医療従事者の養成抑制、フリーアクセスの制限を実施する。この様な政策に沿う形の改定に終始する近年の改定方針は抜本的に改めるべきだと、我々は強く主張する。地域医療を守り、患者の命と健康を守るため、医療施設の改善、医療再生産の原資となる基本診療料を引き上げること、汎用技術の評価を引き上げること、在宅医療などに顕著な算定制限を撤廃することを強く求める。
 以上を踏まえて、診療報酬の抜本的な改善と改定実施延期を求めて、保団連医科第一次検討会に集う我々全国の保険医は下記の如く決議する。

一.2020年度改定実施にあたり、混乱を避け国民へ周知するため適用日を延期すること。
一.診療報酬改定は必ずネットで引き上げること。薬価・材料価格の引き下げにより生じた財源は全て技術料の引き上げに充当すること。
一.基本診療料の大幅な引き上げとともに、汎用技術を適正に評価すること。
一.全ての患者が安心して医療を受けられるよう、患者の一部負担を軽減すること。75歳以上の高齢者の2割負担化は絶対に止めること。
一.地域医療現場の実情を無視し、医療崩壊につながる「三位一体改革」と称する医療提供体制改革を抜本的に見直すこと。真に「療養の給付」つまり患者が受ける医療サービスそのものの向上につながるような改定とすること。
一.細分化・複雑化した算定制限、算定対象患者の制限を撤廃し、現場のプロフェッショナルな判断と連携で「療養の給付」ができるようにすること。
一.地域医療の第一線で医療に従事する我々医師を含む医療従事者が、安心して患者と向き合い医療サービスを提供できるように、働き方の環境を整備すること。
一.具体的な個々の改定項目の検討の場のみに矮小化されてきた中医協の役割を向上させること。三者構成の意義を再確認し、支払側の安易な医療費削減提案は採用しないこと。

以上、決議する。

2020年3月20日
全国保険医団体連合会 医科第一次新点数検討会