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2020年度診療報酬改定特集

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2020年度歯科新点数検討会決議

※全国保険医団体連合会は、3月21日に開催した「歯科新点数検討会」にて、2020年度歯科診療報酬改定に対して下記の決議を上げ、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:277KB])。


 2020年度診療報酬改定は、歯科診療報酬0.59%プラスで、2018年度の0.69%プラスを下回った。政府はこれまで骨太方針では3年連続で歯科の記述を書き込んだことで「歯科重視」をアピールしていたにも関わらず2018年度さえ下まわる改定率である。
 今回は、わずかな改定率の枠内でも、一定の引き上げがなされた。しかし、歯科医療機関の厳しい現状を打開するには不十分である。また、歯科衛生士や歯科技工士の技術や労働が適正に評価されず、歯科衛生士の雇用確保や歯科技工料の適正な支払いも困難なままである。さらに、歯科医院経営を圧迫し続けている金パラの「逆ザヤ」も、今次改定では解消されない。
 今こそ、低歯科医療費政策を抜本的に転換し、歯科医療費の総枠を拡大することが必要である。
 一方、患者さんに目を向けると、経済的な理由から、治療の中断、投薬・検査の拒否、症状のある部分のみの治療を求めるなどの事例が多数起こっている。しかし、政府は「75歳以上の患者窓口負担の2割導入」など、新たな患者負担増を検討・具体化を狙っている。
 また、診療報酬改定の周知期間について、2018年改定では、医療機関への改定内容の周知が不十分なまま4月から新点数が実施され、膨大な疑義解釈で算定方法の取り扱いや修正が示されることが頻発し、現場に多くの混乱を生じさせた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、すでに例年以上に周知に困難な事態を迎えている。多くの混乱が生じることのないよう、3月31日を待たずに疑義解釈の発出などの早急な対応を求める。
 私たちはこれからも、患者さんに寄り添った歯科医療を継続・発展できるよう、歯科医療費の総枠拡大と診療報酬の改善に向けた取り組みを一回りも二回りも大きくしていく。
 以下の事項を要望する。

一、歯科医療機関の経営危機を打開し、国民が安心して歯科医療を受けられるよう、歯科医療費の総枠拡大を実現するとともに患者窓口負担を大幅に軽減すること
一、金パラ「逆ザヤ」の即時解消のための緊急対応を行うこと
一、歯科技工士、歯科衛生士の評価を抜本的に高めること
一、75歳以上の窓口負担2割導入をはじめとする新たな患者負担増の計画は中止すること
一、 歯科医療機関が改定に円滑に対応できるよう十分な周知対策を実施すること

以上、決議する。

2020年3月21日
全国保険医団体連合会 歯科第一次新点数検討会