日歯連盟の政治資金規正法違反容疑報道について

―自ら真相を明らかにして、信頼の回復をー

2004年2月7日
全国保険医団体連合会
副会長 秋山和雄

                             

 マスコミ報道では、東京地検特捜部が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、日本歯科医師連盟(日歯連盟)の事務所や日歯会長でもある臼田日歯連盟会長の自宅などを一斉に捜索した結果、最高幹部らが資金の一部を政治活動以外の飲食費等私的に流用していた疑いのあることが、2月6日判明したとしている。

 私たちは、医科・歯科保険医の団体として、企業・団体の政治献金の廃止及び公益法人である歯科医師会と政治団体である歯科医師連盟の峻別を強く求めている。その立場からして、今回の事件報道を黙過できない。

 今回の事件は、歯科医療、歯科医療機関に対する国民の信頼を大きく失墜させただけでなく、地域で日常診療を通じて患者、住民との信頼を築きあげてきている多くの歯科医療機関の努力に冷水を浴びせるものである。それだけに、容疑をもたれている日歯連盟の最高幹部の責任は重大である。

 また、定款で「歯科医師社会を代表する総合団体として、医道の高揚と歯科医学の進歩発展と公衆衛生の普及向上とを図り」と謳っている日本歯科医師会会長の家宅捜索が行われ、事情聴取されたことですら、前代未聞、不名誉であるにもかかわらず、その上団体の資金が私物化されていた疑惑まで浮上したということは、言語に絶する。

 この事件の背景には、潤沢ともいえる日歯連盟の資金がある。その資金の原資は、憲法で定められた思想信条の自由、政治・結社の自由を無視して、「歯科医師会と歯科医師連盟の同時入退会の原則」を理由に、当時、歯科医師連盟に強制加入させ、強制徴収していた会費である。

 私たちは、日歯連盟幹部に対して、今回の政治資金規制法違反容疑事件を引き起こしたことへの猛省を促すとともに、二度とこのような不名誉な事件を起こさないためにも、自ら早急に政治資金の使途を国民の前に明らかにし、信頼回復をはかるよう強く求める。さらに日歯連盟訴訟の一連の和解・判決にそって、歯科医師会と歯科医師連盟の峻別を地域末端まで徹底すべきである。

 あわせて、私たちは、報道されている経済産業省のIT委託事業にかかわる疑惑についても、日本歯科医師会が、国民の前に明らかにすることを求めるものである。