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歯科医院経営の悪化を加速する「か初診」



 岡山県保険医協会歯科部会の川野宏子幹事は、9月25日に開かれた保団連第8回歯科全国交流会で「『か初診』路線は医院経営の悪化を加速する」と発言した。川野氏の発言要旨を紹介し、かかりつけ歯科医初診料の問題と歯科医療費について考えてみたい。

 2003年度の国民医療費は31兆5375億円と前年比約5800億円増であるが、歯科医療費は、2兆5375億円と逆に500億円減少し、医療費全体に占める割合も7・9%に低下している。

 「か初診」導入後の歯科医療費のピークは2001年の2兆6041億円だが、「か初診」の算定回数が「歯科初診」の算定回数を上回る2002年からは、歯科医療費が減少に転じている。

 この原因として考えられることの第一は、「か初診」緩和の一方で、歯科医療費の半分以上を占める補綴関連の点数に大鉈が振るわれ、点数の廃止や包括化が進められたことである。

 「歯冠修復及び欠損補綴」の1件当たり点数は、01年の764点から02年には667点へと約100点減少している。

 第二は、患者負担増による受診抑制とともに、2カ月間「か初診」が起こせないなどの「か初診」算定制限(この間は、歯科初診料も算定できなく、「か再診」の算定となる)の影響もあるのではないかいう推察である。それは、「か初診」の算定要件が02年改定で緩和されたにもかかわらず、03年の「歯科初診」と「か初診」の合計が前年比74万3000回、1億1600万点減っているからである。(社会保険医療診療行為別調査結果)。

 このように、「か初診」は「医療費抑制システム」としての本来の機能と役割を高めつつある。次回改定で「か初診」の見直しが行われれば、それに一層のはずみがつくことは火を見るより明らかである。

 この路線から訣別しない限り、歯止めのかからない歯科医療費削減の道を突き進むことになり、結果として歯科医療の荒廃と医院経営の悪化を加速する。

 「保険で良い歯科医療」をめざすためにも、「か初診」路線から「途中下車」できなくなる前に、「か初診」廃止の運動をさらに推進することが必要ではないか。