ホーム

 

主治医 新点数を設定…機能分化の要に位置づけ

(「全国保険医新聞」2014年2月25日号)


 中央社会保険医療協議会が2月12日に行った2014年度診療報酬改定についての答申で、「主治医機能」を強化する新点数を創設する案が示された。外来機能分化の要と位置づけたものであり、今後注視が必要だ。


 2014年度改定では、医科外来で「外来の機能分化のさらなる推進」を図るとして「主治医機能」を持った中小病院や診療所の医師が、複数の慢性疾患を持つすべての患者に対して、患者の同意のもとで「継続的かつ全人的な医療を行う」評価として、地域包括診療料1503点(月1回)、地域包括診療加算20点(1回につき)が新設される。

地域ケアの要となるか
 このうち地域包括診療加算は、診療所が算定する点数として設定されたものだ。現段階で厚労省が示した算定要件は表のとおり。
 算定要件を満たした1診療所の1人の担当医が、▽当該患者が受診する全ての医療機関の把握▽処方されているすべての医薬品を管理すること▽在宅医療の実施▽24時間対応▽健康管理▽介護保険対応―など、かなりハードルの高い対応が求められる算定要件となっている。
 ただし7剤投与の減算規定の対象外となる要件が盛り込まれたことは、保険医協会・医会、全国保険医団体連合会が要望した内容が反映したものとなっている。
 田村憲久厚生労働大臣は2月12日、中医協の答申を受けた記者会見の中で「主治医機能を強化して地域包括ケアの要をつくる」と述べるなど、外来医療の機能分化の要として位置づけている。
 診療所にゲートキーパーとしての役割を期待する声も出されており、慎重な検討が必要だ。

在宅…同一建物概念は不合理
 在宅医療の不適切事例の適正化を行うとして、「同一建物居住者」の訪問診療料等の点数引き下げ、在宅時医学総合管理料等への「同一建物居住者」の点数設定が導入されようとしている。
 これが実施されれば在宅実施医療機関に大きな打撃となりかねない。特に、在宅時医学総合管理料の趣旨は「患者毎に総合的な在宅療養計画を策定し、それに基づいて必要な在宅医療を提供していくこと」だ。同一建物に居住しているかどうかは関係なく、個々の患者の医学的管理を行う点数だ。この問題も含めて「同一建物居住者」の概念自体が不合理であり撤廃すべきだ。
 今後ますます在宅患者が増加する中で、在宅医療を担う医療機関が十分な医療が提供でき、経営も成り立つ評価が不可欠だ。
 保団連は昨年12月に行った要請でこのような改定を実施しないよう求めたが、今後あらためて要請を行う。