4章 混合診療-医療の構造改革-





 混合診療解禁の旗を振る規制改革会議などは、さかんに「新しい医療技術に対応する」「国内未承認薬で多く命が救える」などと宣伝しています。しかし、本当に彼らが、患者さんのために制度改革するのなら、混合診療で保険外負担を求めなくても、それらを保険に組み入れ、負担の心配なく使えるようにすればよいのではないでしょうか。
 政府・財界は、口を開けば「財源がない」「保険ですべては賄えない」と言いますが、国の財政が赤字なのは医療費が増えたからではありません。歳入面では、この15年間で130兆円もの法人税減税を行ったり、歳出面では社会保障費の2倍もの公共事業費を使うなど、政府がでたらめな財政運営を繰り返してきた結果です。









 GDPに対する医療費を比べてみると、日本はドイツ・フランスの7割程度、医療費は先進国中最低水準です。保団連の試算では、仮に日本の医療費水準をドイツやフランス並にすれば15兆円の医療費増になりますが、そのための国庫負担は3.7兆円程度です。無駄な大型公共事業を見直し、過去最高益を更新し続けている大企業に応分の負担を求めれば、財源は十分に生み出せます。
 財源がないのではなく、先進国最低の医療費水準を続けようとしていること、医療をお金儲けの手段にしようとしていることが、問題の本質です。貧富の差で受けられる医療を差別する「混合診療」か、お金の心配なしに医療が受けられる「国民皆保険制度の拡充」かが問われています。