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1〜4歳児の疾患による死亡率--先進13カ国中、日本が最高       



先頃発表された国立保健医療科学院生涯保健部・田中哲朗氏らの研究報告「わが国の小児の保健医療水準―先進国との死亡率の比較より」によると、日本の1〜4歳児の疾患による死亡率は、先進14か国中、最も高いことがわかりました。

 この研究は先進13か国(米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン、カナダ、オーストラリア、オランダ、スイス、ベルギー、スウェーデン、オーストリア)と日本の0〜14歳の死亡率を比較した研究で、全年齢の死亡率、5〜14歳児の死亡率は、13か国平均を100とした場合、それぞれ84.9、88.1と日本の方が低く、0歳児の死亡率にいたっては67.0で14か国中、2番目に低いにもかかわらず、1〜4歳児の死亡率は、129.5で、米国に次いで2番目に高くなっています。

米国は他殺の死亡率が著しく高いことから、疾患による死亡率では、14か国中、日本がトップであり、先天異常などの出生時の救命率の高さを考慮しても突出していると指摘しています。死亡率を13か国並に改善すれば350名、最高値のスウェーデン並にすれば850名以上救命できると試算しています。

 日本の1〜4歳児の死因を死亡率の高い順に見ると、@不慮の事故、A先天奇形など、B悪性新生物、C肺炎、D心疾患、Eインフルエンザなどの順であり、このうち、インフルエンザ、先天奇形など、心疾患については、13か国に比べて死亡率が高くなっています。このことは、乳幼児医療費助成制度での負担軽減で早期受診を図ることや小児救急医療体制の整備・拡充が緊急の課題であることを示しています。(この論文は、「日本医事新報」2004年12月18日付に掲載されています)